「円高不況」が理解できなかった頃

モノ作り・輸出依存の罪 「強い通貨」を成長のチャンスに」について。
昔、何故「円が高くなると不況になるのか」と言うことが全く理解できなかった。例えば円が360円の固定相場制から70年代に入って変動相場制に移行すると円は高くなり続け、バブル以前で1ドル100円付近まで円高が進んだ。この間、日本は高度経済成長をし続けた。つまり円高による好景気が続いたと言うことではないか。円高不況などという言葉が当時語られていたとは到底思えない。
しかしバブル以降は一転し、「円高になると企業が困る」とされ、以降の円高は抑えられることになった。
円高と言うことは自国の通貨の価値が上がると言うこと。ソレはつまり海外の資源や製品を安く買えるようになるということなのだから、製造コストは下がり輸出品の価格もそれほど上昇するわけではないだろうし、輸出量が減っても獲得できる外貨は多くなるのだから、単に輸出量が減るは問題ではないだろうと。
そんな意見を持っていると、よく教師等に「もっと経済を勉強しなさい」と馬鹿にされたものだが、欧州各国のユーロ高による好景気をみるにつけ、やはり自国通貨の価値が高いことが問題だとは思えなかった。
しかし下記を読んで納得した。

 円高ドル安は日本経済の活力をそぐと一般には言われるが、現実は全く逆だ。私は「対米黒字が日本経済を殺す」と主張してきた。円高はそうした「黒字亡国」から抜け出す好機だと思う。


「ドルを買い支えてきたことが日本の低成長の原因だった」
 通常、貿易黒字が大きくなれば、通貨高で輸出採算が悪化、やがて黒字が減るという調整が働く。だが、日本は長年、貿易黒字を稼ぐ一方で、輸出競争力も維持するためにドルを買い支え、意図的に円安を維持してきた。経常収支の黒字は米国債などの形でドルのまま米国に還流する。つまり日本の資本輸出で、米国の貿易赤字を穴埋めしてきたのだ。


 こうした構図の下で米国は、モノを買っても手元のカネが減らない「魔法の財布」を手にした格好になる。しかもドルは円に対して割高に放置され、米国内の購買力はさらに高まる。一方の日本は、本来なら国内で購買力として使われるはずの資金が米国に流れるため、国内消費を抑えられ、サービス業が縮小し、雇用を減らす。日本では経常収支の黒字が経済成長率を低下させ、米国では赤字が成長率を押し上げる力として働いている。


 多くの日本人は気づいていないが、輸出立国が同時に、富を日本から米国に移転させる仕組みになっている。これはかつて植民地だったインドが、宗主国英国との貿易で稼いだポンドを英国の銀行に貯め続けたのと同じ構図だ。

有り余るほどの貿易黒字はアメリカの債権購入に消えているのか。なるほど、それではどれだけ仕事をしようとも暮らしが楽になるはずが無い。確かに私には経済の知識が足りなかったようだが、では何故知識を持っている方方はこような現状に甘んじていられるのか分からない。まあそれは私がまだまだ知らないことが多いからなのだろうが…
やはり私は、未だに円高が好景気の材料になると思っている。諸外国の製品があふれかえっている私の身の回りにおいて、円高のメリットが無いはずが無かろう。少なくとも燃料代が安くなるので輸送コストは減りそうだ。それだけでも経済の活性化に繋がると思うのだが。