民主党の言う「任命責任」

与党の人事に対して「任命責任」を唱えたり、就任後間もない大臣に対して省庁の「監督責任」を唱えてきた民主党。その党首の資産管理団体に捜査が入り、公設第一秘書が逮捕された。
その件に関して、小沢氏は下記のように発言している。

――今問題になっているのは、個人でなく実は企業献金だったと。そんな脱法的な献金のあり方が国民に不信を与えている。政治改革を進めてきて、この疑惑をどう思うか。


 「ですから、私どもの政治資金の処理の仕方としては、その政治団体の原資がどういう形でどういうところから入っているのかは、それは知る術もありません。(*注1)ですから、そういう意味におきまして、政治団体からの寄付だったので、政治団体で受領したということであります。そしてもし今、西松建設の中でそのような脱法というべきか、違法な形で作られたお金であったということがはっきりした時点において、それは返却するつもりでおります」


(略)


――小沢代表は、陸山会の代表者。監督責任はある。その際に代表者としてどこまでチェックし、担当者から聞き取りし、関係情報まで目を通すか。どのようなチェックをしてきたか。


 「政治家は、一人で政治活動を全部やることは不可能です。ですから、スタッフ、秘書のサポートを借りながら活動を続けているわけであります。この政治資金につきましても、私も皆さんご承知のように、非力ながら民主党の代表として選ばれて務めさせていただいております。全国、一生懸命国民の皆さまに語りかけ、話しかけ、あるいは我々の政策を理解して頂く努力が、最大の、私は党首・代表としての任務だと思って、ずっと就任以来やってきました。まあ、民主党になってからだけではありませんけれども、私も40年やっておりますので、最初の当選した時より、だんだんそういう仕事が増えてきております。従いまして、細かな政治献金の一つ一つについて私が全部チェックするということは、いたしておりません。秘書を信頼してやる以外に現実問題として不可能なことでありまして、報告は受けて、全体の報告は受けて、それを了としておりますけれども、個別の一つ一つについてまで目を通す時間的、能力的余裕は現実にはないということであります

「献金すべてオープンに」小沢代表会見一問一答 - 朝日新聞 2009/03/04 -

つまり、現実的には不可能であれば監督責任と言うものは問われないらしい。


この件については顛末がどうなるのか非常に気になる。既に上記「注1」の発言については、その真偽が問われる証言が得られたようだ。

 小沢一郎民主党代表の資金管理団体陸山会」を巡る政治資金規正法違反事件で、同会が準大手ゼネコン「西松建設」(東京都港区)のOBを代表とする二つの政治団体から献金を受ける際、同社に請求書を出していたことが、同社関係者の話でわかった。


 その後、献金は2団体名義で、請求書の金額通りに行われ、陸山会側からは2団体あてに領収書が発行されていたという。東京地検特捜部も同様の事実を把握しており、小沢代表側が政治団体からの献金西松建設からのものと認識していた可能性が強いことを示す事実とみている。


(略)


 こうした手続きは毎年繰り返され、陸山会側から西松建設側に、「今年もよろしく」などと、前年並みの献金額を求めることもあったという。献金額は、新政治問題研究会が03〜05年に各500万円、06年が100万円。未来産業研究会は03、04年が各200万円、05年が100万円となっている。2団体には西松社員が会費を振り込み、後で同社が賞与などで補填(ほてん)していた。


 この事件では、政治資金規正法違反容疑で、陸山会の会計責任者で小沢代表の公設第1秘書の大久保隆規容疑者(47)が逮捕されているが、同容疑者は容疑を否認している。特捜部は、陸山会の請求書は西松建設に送っていることから、大久保容疑者が、2団体は西松建設のダミーで、実際は西松建設からの献金だと認識していたとみている。

小沢氏側が西松建設に献金請求書…「企業献金」認識か - 読売新聞 2009/03/04 -

小沢氏の言う「疑惑」は晴れる事があるのだろうか。

不況、赤字、リストラ

経済の見通しは暗いようだ。

国際通貨基金IMF)は28日、最新の世界経済見通しを発表した。世界同時不況の影響で、日本の09年国内総生産(GDP)の実質成長率見通しを、昨年11月の前回予測より2.4ポイント低いマイナス2.6%に大幅下方修正した。


(略)


 世界全体の09年見通しは1.7ポイントの下方修正で0.5%と、第二次大戦後で最低の予想となった。米国はマイナス1.6%、ユーロ圏もマイナス2.0%、先進国全体では前回より1.7ポイント低いマイナス2.0%と予想した。


 高成長が期待されていた新興国も、ロシアが4.2ポイントの下方修正でマイナス0.7%予想に落ち込んだほか、中国が6.7%、インドも5.1%とそれぞれ成長率が鈍化する見通しとなった。10年の見通しは、世界全体で3%成長とした。


 IMFはまた、低所得者向け高金利住宅ローン(サブプライムローン)問題に伴う金融機関の損失が、世界全体で計2.2兆ドル(約200兆円)に拡大するとの予測を発表した。

成長見通し:日本、マイナス2.6%…IMF大幅下方修正 - 毎日新聞 2009/01/29 -

日本政府の見解は甘い、との指摘もある。

 1月20日に公表された政府の月例経済報告は、「景気は急速に悪化している」という異例の厳しい表現で、日本の景気が急激に悪化していることを伝えています。事実、日本の経済活動は、かつて例を見ないほどのスピードで落ち込みつつあります。


(略)


 具体的に言うと、9月の段階では、エコノミストの平均的な成長率予測は2008年度0.7%、2009年度1.3%というものでしたが、最新の2009年1月段階では2008年度マイナス1.3%、2009年度もマイナス1.2%となっています。たった4カ月の間にこれほど大きく変わってしまったわけです。

(略)


 私はこの結果を見て、腰を抜かすほど驚きました。まず驚いたのは、その落ち込みの大きさです。11月の前月比(季節調整済み)はマイナス8.1%というものでした(その後1月19日に確報が発表され、マイナス幅はさらに8.5%に拡大しているのですが、ここでは速報段階の数字を使います)。


 単月での変化率ではイメージがつかみにくいので、これが1年間続くとどうなるかを計算してみますと、何とマイナス63.7%(!)となります(これを「年率」といいます。具体的には0.919を12乗することによって求められます※欄外注参照)。1年間で生産レベルが約3分の1にまで落ち込んでしまうほどのスピードだということです。


 予測指数もまた驚きでした。この調査では、先行き2カ月の見通しも調査しているのですが、それによると12月は再び8.0%のマイナス、2009年1月も2.1%のマイナスとなっているのです。この結果をそのまま当てはめてみますと、2008年9月以降の生産活動は4か月の間に20%も低下することになるのです。


設備投資はお先真っ暗


 次に「機械受注統計調査」を見ましょう。これは、内閣府が、機械製造メーカーが毎月どの程度の注文を受けたのかを調べているものです。企業が設備投資をするには、まず機械の注文を出すはずですから、その注文の動きを見ていれば、設備投資の動きを早めに知ることができるはずです。最新のデータは、これも2008年11月のもので、2009年1月15日に公表されました。この結果もまた驚くべきものでした。


 前月比は何とマイナス16.2%だったのです。年率を計算すると(あまり気が進みませんが)、実にマイナス88%となります。設備投資はお先真っ暗だということです。


 最初に述べたように、以上のことは、10月以降の経済は予想以上に悪化しているという実態が、経済指標によって次第に明らかになってきたということです。おそらく落ち込むスピードという点では、2009年度後半(2008年10月から2009年3月にかけての時期)が最悪期だったということになるのではないかと私は考えています。


 こうして経済活動が落ち込んでいるのは、企業が猛烈な勢いで生産レベルを需要の落ち込みに合わせて調整しているからでしょう。この調整が終われば落ち込みのスピードも緩やかになるはずです。


2年連続のマイナス成長は必至


 さて、経済活動がこれほど落ち込んでいるとなると、成長率もまたかなり低くなっているはずです。そこで、成長率の見通しを四半期別にやや細かく見てみましょう。


 日本の実質GDP国内総生産)は2008年4〜6月期3.7%減(前期比年率)、7〜9月期1.8%減と推移してきました。最新の2009年1月時点でのフォーキャスト調査(1月初めに調査されたものです)によりますと、2008年10〜12月期は、マイナス5.1%と予想されています。ただ、これまで述べてきたように、経済の実態はもっと悪いことが明らかになってきていますから、エコノミストの予想は更に下方修正されつつあり、1月17日の日本経済新聞によりますと、マイナス10%程度になるとの見方が有力になりつつあります。


(略)


 ゴルフで言えば、ティーショットを普通より100ヤード後ろから打つようなものです。どんなに頑張ってもパー(プラス成長)は実現できないのです。簡単に計算してみると、4〜6月期以降、毎期年率3.1%程度の成長を続けないと2009年度の成長率はプラスになりません。これはほぼ不可能ですから、現状において既に2年連続のマイナス成長はほぼ間違いないというわけです。


甘すぎる政府の見通し


 さて以上の議論を目にして、読者の皆さんは「随分細かい技術的な議論だな」と思われるかもしれませんが決してそうではありません。例えば、2008年12月に決まった政府の経済見通しでは、2009年度の実質成長率は0%となっています。これまでの議論からするとこれは実現不可能です。要するに現時点での政府の見通しは、現在急激に進んでいる経済の悪化を織り込んでおらず、今となっては楽観的過ぎる(甘い)ということです。すると次のような問題が出てきます。


 第1に、政府は2009年度の失業率を4.7%と見込んでいますが、経済がもっと悪いとなると、失業率はもっと高くなるでしょう。逆に、政府が失業率を4.7%程度に抑えたいと思っているのであれば、現在考えている程度の景気対策、雇用対策では全く足りないということになります。


 第2に、財政赤字はもっと拡大するでしょう。内閣府は1月16日にいくつかのケースに分けて財政の展望を示しており、最も悲観的なケースでは、消費税を上げていっても基礎的収支の赤字が長期にわたって続くとされています。


 ところが、この「最も悲観的なケース」でも2009年度はゼロ成長となっているのです。つまり、現実の財政の姿は政府が想定する最悪のケースよりもっと悪くなると考えられるのです。


 第3に、2009年度には年金財政の再計算が行われることになっていますが、これについても一定の経済的条件を想定する必要があります。おそらくこの前提も現時点での政府の見通しに沿ったものとなるでしょうから、年金財政の見通しもまた甘くなるということになります。

猛烈に落ち込む日本経済 2年連続マイナス成長は不可避。数字が語る日本の未来は… - 日経ビジネスオンライン 2009/01/22 -

上記の指摘を裏付けるように、大企業の赤字決算と、それに伴う人員整理が発表される。
ソニーは2600億円の赤字。

 ソニーは22日、09年3月期連結決算で、2600億円の営業赤字に転落する見込みだと発表した。純損益も1500億円の赤字になる。同社の営業赤字は95年3月期以来14年ぶりで、赤字幅はこれまでで最大。主力の液晶テレビデジタルカメラなどの販売不振や円高が響いた。昨年10月末に営業利益をそれまでの予想より約6割少ない2千億円に修正したが、年末商戦もふるわず、再び業績見通しの大幅な引き下げを迫られた。

ソニー、過去最大の営業赤字2600億円 3月期見込み - 朝日新聞 2009/01/22 -

それに伴い国内事業で2000人以上の正社員を削減。

 ソニーは不振のエレクトロニクス部門の再建に向け、国内事業のリストラに乗り出す。国内に2カ所あるテレビ工場を1カ所に集約するほか、希望退職募集などで国内の正社員の約3%にあたる2000人以上を削減する見込み。円高や販売不振により2009年3月期は14年ぶりの連結営業赤字に陥る見通しになっており、約3年ぶりの工場再編などでコスト構造を抜本的に見直す。


 ソニーは昨年12月、世界で1万6000人以上(うち正社員8000人)を削減することを軸としたリストラを発表し、中身を詰めていた。具体策として国内エレクトロニクス部門の構造改革策をまとめた。

ソニー、国内TV生産を1工場に集約 正社員2000人超削減 - 日経ネット 2001/01/22 -

日産もV字回復後初の赤字。

 日産自動車が09年3月期連結決算の業績予想を下方修正し、営業赤字に転落する見通しであることが26日、わかった。日産の営業赤字は仏ルノー資本提携し、カルロス・ゴーン氏が経営に参加した99年以来初めて。業績悪化を受け、日産は役員報酬や管理職の賞与カットにも踏み切る構えだ。


(略)


 日産はゴーン社長をはじめとする役員報酬を大幅に削減し、課長級以上の管理職の賞与も減らす方向で調整している。また昨年5月に発表した中期経営計画(08〜12年度)を見直す。5年間で60車種を投入する予定だった新型車種を2割以上減らし、09年度の世界販売目標の420万台も見直す。一方で、新たな収益源として10年度に日米で投入する電気自動車の計画については予定どおり進める。

日産、営業赤字へ 09年3月期、ゴーン氏参加後で初 - 朝日新聞 2009/01/26 -

それに伴って主力車種の工場を海外に移設する事を発表。

 日産自動車は、主力の小型車「マーチ」の生産を10年の全面改良に合わせてタイに全面移管する検討に入った。日産は円高金融危機に伴う販売減で09年3月期は連結営業赤字に転落する見通しで、円高が続いた場合に備え、低価格車の生産を製造コストの安い新興国に移し採算改善につなげる。日本の自動車メーカーが主力車種の生産を海外に全面移管するのは初めて


 現在、追浜工場(神奈川県横須賀市)で行っているマーチの生産をタイの子会社に移管し、アジア各国に販路を広げる。日本での販売分はタイから輸入する方向だ。追浜工場では代わりに、日米で10年に発売する電気自動車などを生産する。ただ、雇用確保のため一部生産は同工場に残す可能性もある。

日産:「マーチ」の生産、タイに全面移管を検討 - 毎日新聞 2009/01/16 -

人件費の安い地域に工場を建てるのは当然と言えば当然だが、日本人労働者の就労先が削られてしまっては、日本は何時まで経っても不況から脱却する事ができなくなる。国債企業の経営者としては正しい判断だろうが、日本企業としては残念な道を選択したと言える。こう言う行為が、将来の購入予定者にどのような心理的影響を及ぼすか…少なくとも私は、今後日産の車を買う気にはならない。
ゴーン社長は日産の役員報酬を返上する見通し。

 日産自動車の提携先ルノーカルロス・ゴーン会長は21日、「ルノーのボーナスはすべて経営実績に左右される」として昨年実績に対する今年のボーナスを返上する方針を示した。


 ゴーン会長は「会社の経営実績が現状のように望ましい状態でなければ、たとえルノー社員の力が及ばぬ理由でも、ボーナスは支払われない」と明言した。ゴーン氏の昨年のボーナスは約140万ユーロ(1億6000万円)だった。社長を務める日産のボーナスも返上するとみられる。

ゴーン氏:ルノー会長のボーナス返上へ 日産社長分も - 毎日新聞 2009/01/23 -

ちなみに日産の役員報酬は平均で3億円(トヨタは約7000万円)


トヨタも大幅な人員削減に踏み切る。

 トヨタ自動車は4月以降、国内工場で働いている期間従業員を追加削減する検討に入った。同社はこれまでも期間従業員の削減を進めており、3月末の雇用人数は約3000人の見込み。その後も国内生産の落ち込みが続けば余剰感がさらに強まる見通しで、契約延長の絞り込みなどで順次減らす。期間従業員がゼロになる可能性もあるという。


 トヨタ期間従業員は最短4カ月契約で、契約を延長すれば最長2年11カ月まで勤務できる。トヨタは国内生産の減少を受け、昨年6月から新規採用を停止。増産期には頻繁だった契約延長も急減している。昨年3月には約8800人を雇用していたが、一部を正社員に登用していることもあり、今年3月末には3分の1に減るとの見通しを示していた


 4月以降も生産水準が上向かなければ、新規採用を引き続き停止し契約延長もさらに減らす。4月以降の計画は今後詰めるが「生産計画次第で(雇用人数が)ゼロになる可能性もある」(トヨタ幹部)という。

トヨタ、期間従業員を追加削減へ 3000人対象、「ゼロの可能性」 - 日経ネット 2009/01/20 -

もちろん国内だけではない。

 トヨタ自動車は北米と英国で正社員を削減する方向で検討に入った。削減数は今後詰めるが、合計で1000人を超す可能性もある。トヨタは世界販売の落ち込みを受けて内外で大幅減産に取り組んでおり、工場を中心に人員の余剰感が強まっている。2009年3月期に戦後初の連結営業赤字に陥る見通しのなか、“聖域”としてきた正社員の雇用に手をつける異例の措置で収益回復を急ぐ。


 トヨタは戦後混乱期の1950年に希望退職を募り、国内で約1600人の正社員を削減したことがある。その後、国内外で需要減を理由に正社員を本格的に削減した例はない。

トヨタ、海外で正社員削減 1000人超す公算 - 日経ネット 2009/01/23 -

正社員を削減すると言う事は、当然生産力が落ちると言う事。先の「生産レベルは1/3にまで落ち込む」と言う指摘も、非常に現実味がある。


この様なトヨタショックによる自治体への影響も少なくない。

 愛知県豊田市の鈴木公平市長は9日の記者会見で、新年度から97億円をかけて進める予定だった新庁舎建設事業について「厳しい財政状況を勘案し、着手を見送ることにした」と表明した。急速な景気の低迷で、来年度の大幅な税収減が確実なため、歳出の抑制を優先させた。


 事業は、同市の三つの本庁舎のうち、老朽化が進む東庁舎を今夏に取り壊して、跡地に地上8階地下2階の新庁舎を建てようという計画で、11年12月の完成を予定していた。


 しかし、トヨタ自動車の業績低迷などで、来年度の法人市民税は今年度当初の9割に当たる400億円減が見込まれる。さらに、この日の会見で鈴木市長は、業績が悪化した企業から取り過ぎた市民税を新年度に返還する還付金の総額が、これまで予想した150億円よりも40億円膨らみ、190億円になるとの見通しを示した。


 5日には、市議会(定数47)で30議席を占める自民党系の最大会派までも、新庁舎建設の見送りなどを求めた提言書を市に提出しており、事業の延期は避けられない状況になっていた。

 ただし、新庁舎建設に先立つ現東庁舎の解体については、まだ結論が出ていない。庁舎を解体した場合の仮庁舎として使うため、市は07年12月に移転した市役所近くの旧民間病院で、約2億9千万円をかけて、建物の改修やプレハブ庁舎の建設を進めており、新年度からは、年に7千万円を超える土地と建物の賃貸料が発生する。

豊田市、新庁舎建設先送り トヨタショックで税収減響く - 朝日新聞 2009/01/09 -

しかしその豊田市を抱える愛知県職員には緊張感が無い。

大幅な財源不足を理由に県から給与カットの提案を受けた県職員組合や県教員組合など5組合が26日、県に抗議する総決起集会を名古屋市中区の名城東小公園で開いた。県内各所から約2000人が参加した。


 集会では、経過説明に続いて5組合の委員長がそれぞれ決意表明。集会後、組合員らは「生活を直撃する賃金削減を見直せ」「県民、職員に財政難を押し付けるな」などと声を上げ、近くの県庁本庁舎までデモ行進した。5組合によるデモ行進は2000年1月以来9年ぶり。


 県は今月16日、給料6%、ボーナス4%の削減を組合に提案。県と組合で交渉を進めており、今月中にも結論が出る見込み。

給与カット提案に県職員ら2000人抗議 - 読売新聞 2009/01/27 -

地方税の歳入減は何も豊田市に限った事ではない。

 政府は27日、地方自治体の歳入、歳出の見通しを示す平成21年度の地方財政計画を決定し、国会に提出した。景気後退で地方税は20年度比で4兆2843億円(10・6%)減と過去最大の減収を見込み、計画の総額は1・0%減の82兆5557億円で2年ぶりの減額となる。地方税は36兆1860億円で、企業の業績悪化による法人事業税の落ち込みに伴い都道府県税は20・1%減の13兆5100億円、市町村税も3・8%減の22兆6760億円と見積もった。

地方税は過去最大の10%減 - MSN産経ニュース 2009/01/27 -

歳入減にあたり、それでも人件費は維持すべきだと言うのであれば、人員削減をすべきである。何故ならば、予算に占める人件費の割合が増え、事業に当てられる予算が減るのだから、必然的に自治体の行える行政サービスは規模が小さくなってしまい、結果必要とする人員が少なくなるからである。
県としては人員を削減することなくこの不況を乗り切ろうと苦心したのであろうが、その対応を仇で返すかのような県職員の方の対応は、私には理解できない。


資金源に不安を抱えているのは自治体だけではない。以前から言われている国民年金の崩壊が現実味を帯びてきた。

「派遣切り」や正社員の早期退職が増え続けるなかで、自営業者や学生などが加入する国民年金制度に「崩壊」の危機が迫っている。国民年金の納付率が2008年10月末時点で59.4%と、60%を割り込む一方で、失業して国民年金に加入するものの、保険料が払えない人が急増しているからだ。社会保険庁は「きちんと払っている人の年金が減ることはない」というが、加入者が増えているのに保険料が入ってこないのだから、このままでは年金原資そのものが枯渇しかねない。


(略)


202万人の保険料全額免除で「制度は破たんしている」


本来、年金は保険料を納めるべき人が納めなければ、年金原資は枯渇してしまい、きちんと納めていた人の年金の受け取りまでも危うくなってしまう。年金原資について、社会保険庁は「50年は積立金の運用でやっていけるよう制度設計している」という。保険料も2015年度には1万6380円に引き上がるので、「枯渇の心配は当面ない」と言い切る。


現在、国民年金の加入者は約2035万人(08年3月末、第1号被保険者)。このうち、失業などの理由によって保険料を全額免除してもらっている人は202万人、一部免除者は54万人に上る。


社会保険庁は、申請による保険料の全額免除者は06年度末に比べて約5万人減ったが、「いまの雇用情勢などを見ると08年度は増えるかもしれない」と話す。


同庁によると、もらえる年金は満額(納付期間40年)だと年間79万2100円だが、減免手続きをした人は減免を受けた期間によって異なり、たとえば1年間の減免期間あった人は、4か月分(未納期間の3分の1)を納めたこととして計算されるので、「満額」に比べて年間約1万3000円減額されるという。


国民年金は原資の3分の1を税金で補っているので、結果的に未納分を税金で負担しているのと同じことになる。


年金問題に詳しい中央大学山田昌弘教授は、「徴収方法に限界がきている」と指摘する。国民年金は、元は自営業者のための年金だったが、そこに学生や非正規雇用者など収入がない人や不安定な人までも対象に加えることで加入者を増やした。それなのに保険料は一律徴収。保険料を納めることができる人が加速度的に減って、それによって原資も減る。「すでに制度が破たんしている」(山田教授)という。

保険料払えぬ失業者の加入が増加 国民年金は崩壊危機 - 2009/01/23 -

消費税を増税しなければならない理由もここら辺にあるのかもしれない。


お金が無い人が増えるのであれば安売り店を目指すしかない、とヨーカ堂も路線変更。

 セブン&アイ・ホールディングスは2010年2月期に、傘下に抱えるイトーヨーカ堂の全店の約2割に当たる30店以上を改装する。主力の総合スーパーをディスカウント店や都市型のホームセンターに転換するほか、ドラッグストアなどを導入する。投資額は100億円以上とみられる。品ぞろえが総花的で価格競争力も劣る総合スーパーは苦戦しているため、好立地の既存店に安売り店や専門店を本格展開してテコ入れする。


 ヨーカ堂の店舗は全国に180店。30店以上の改装は09年2月期の2倍に当たり、ここ数年では最大規模となる。新規出店は数店に抑える一方、品ぞろえの見直しも含めた改装で競争力を高めることに軸を置く。

ヨーカ堂、主力30店以上を改装 安売り店・ホームセンターに - 日経ネット 2009/01/18 -

立地条件としては後発の都市型ホームセンターよりは良い所にありそうだが、思うような集客が望めるのかは疑問。ヨーカ堂のような大型ショッピングセンターは、例えば地方の農家から直接商品を買い付けるような、大規模店舗ならではのネットワークを活用した品揃えを図る事で、他店との差別化をしていけばよいのではないか。
例えばイオンは漁協から直接取引を行い、仕入れ値を安く抑える事に成功した。

 大手スーパーのイオンが島根県の「漁業協同組合JFしまね」から直接仕入れた天然魚が17日、大阪や京都、愛知などのジャスコ計約80店の店頭に初めて並んだ。


 旬の時期にサンマやカツオなど魚を指定して買う産地直送品の販売はこれまでにも例があるが、スーパーが市場を通さず漁協から網ごと直接買い取るのは異例という。


 お盆休み最終日のこの日、各店舗では、前日に松江市の加賀漁港などで水揚げされたアオアジ、ヒラマサなど計約2・7トンを販売。


 店頭に並ぶのが通常より1、2日早いため、より新鮮な魚介類を楽しめる。9月以降は毎月20日に実施する予定。


 ジャスコ野田阪神店(大阪市福島区)に買い物に来た会社員和田光司さん(41)は「まさかイシダイが並んでいるとは思わなかった。見るからに鮮度が良さそうなので、刺し身で食べたい」と笑顔を見せた。

直接取引の天然魚が店頭に イオン、島根の漁協から - 47NEWS 2008/08/17 -

ヨーカ堂も大規模店舗のメリットを活かして漁協・農協等との直接やり取りをするのはどうか。価格競争のみを前面に押し出しては、消費者の心をつなぎとめておく事はできないだろう。それに価格で勝負すると言う事は、消費者でもある従業員の給与を下げる事にもつながり、業界全体の売り上げは右肩下がりになるだけだと思うのだが。


ではどの分野が好景気の起爆剤になるのか。この点については私もさっぱり分からない。
とは言え、各業界とも考え方の転換でまだまだ伸びる余地は残されているのではないかと思う。不況の今こそリストラ以外の構造改革を断行すべき時期だと思うのだが。


例えば音楽業界は10年右肩下がりを続けていると言う。

 日本レコード協会(東京・港)は19日、2008年の音楽ソフト生産実績を発表した。CD・DVDなどを合わせた総生産額は前年比8%減の3617億円となり、10年連続で前年実績を下回った。洋楽不振が続いているのに加えてネット配信へのシフトが進み、主力の音楽CDの生産額が落ち込んだ。ピーク時の1998年に比べると金額、枚数とも半減したことになる。


 音楽CDは前年比11%減の2912億円だった。主力の邦楽は10%減。EXILE、安室奈美恵など前年実績の3枚を上回る計七枚のミリオンセラーが出たが、中堅クラスのヒットが乏しかった。洋楽は世界的なヒット不足が響き15%減だった。シングルは携帯電話向けなど音楽配信への置き換わりが進み、15%減となった。

08年の音楽ソフト生産額、10年前の半分に - 日経ネット 2009/01/19 -

確かに10年前に比べて耳に残る音楽と言うのが最近思い当たらない。著作権管理が厳しくなったのか、歌が流れているショッピングセンターはなかなか無い。インディーズレーベルを扱っている店舗であれば、JASRAC管理楽曲以外のものが流れているのは時時耳にする。
結局、ソフトは使われない限り普及しないのだ。耳に入ってこない曲を積極的に購入する意欲等起きるはずも無いのだから、既存の著作権ビジネスに固執して音楽業界を先細りさせていくよりは、普及の為には先ず聞いてもらう事を前提としたビジネスモデルを考えていくべきだ。


新聞も厳しいと言う。

「部数がすべてを解決する」は一面真実だった


河内さんは「印刷・販売工程を各社で共通化すべき」と話す――ここ数年でこそ、新聞は「衰退している」という言われ方をしますが、かつては「儲かる商売」だと言われてきました。何故儲かったのでしょうか。


河内 まず、国際的に見て、日本の新聞業界の特徴は、人口に比べて発行総部数が非常に多いことです。およそ5000万部と言われていますが、他の先進国に比べると大変な新聞大国です。英国も新聞大国と言われましたが、部数は1700万部しかありません。人口が倍近いアメリカとほぼ同じですからね。


一方、新聞社の数は日本では100前後なのに対して、米国は1400。国際的に見ると、日本の新聞社は、1社あたりの発行部数が非常に多い。これは、経営としてはすばらしいことで米国の大学教授の中には、「米国の新聞業界も、日本のように寡占化しないと生き残れない」と言う人もいます。ただ、この寡占化構造は、自発的に作り上げられたものではありません。日本でも、1930年代までは、1500〜1600ぐらいの新聞社があったんです。それが、戦争遂行のための総動員体制になって「1県1紙政策」が強制され、様々な新聞が合併させられた結果、昭和18(1943)年には56まで減らされてしまった。これは国家統制という面では困りますが、経営の合理化という点で、良いこともあったんです。過当競争がなくなり、ある意味で、安定した。


戦争が終わっても、寡占化された経営構造は残った。その後の高度経済成長もあって、寡占化しながらマーケットが広がっていった。ある意味、理想的な経営環境だったんですね。そういう意味で、新聞は「儲かる商売」だったんです。


――具体的には、どのような「もうかる仕組み」があったのでしょうか。


河内 新聞社には「部数がすべてを解決する」という言葉もありましたが、これは一面の真実を表しています。高度成長期は、販売店が仮に実際の部数が1000部であったとして、発行本社の方で1200部(200部余計に)送っても、拡張努力でお客さんを増やせた。だから、「押し紙」ではなかった。部数が増えれば、広告単価も上がって、どんどん儲かるような仕組みが出来ていった。


全国販売店2万1000店で、1兆8000億円の売り上げ、そのうち半分近くを販売管理費に使っている。普通の商売だったら成立しませんよ。それでも何とかなっていたのは、広告売り上げが右肩上がりだったからです。広告代理店からの要請を断るのが大変、そういう夢のような時代があったんです。


――では、その「夢のような時代」は、いつ頃曲がり角を迎えたのでしょうか。


河内 転機は、バブル崩壊の頃ですね。現実には、高度成長が終わった80年代に兆候が見えてきたように思います。広告が、90年代から急落したんです。バブルのピーク時に比べると、半分ぐらいにまで落ち込んでいる。不景気が原因であれば、景気が回復すれば広告も戻るはずなのですが、現実にはそうではない。


地域でシェアが高い新聞の多くが、広告収入で前年割れの状態が続いています。これは、広告主が「新聞から他媒体に引っ越しちゃった」という現象です。「広告を出したいが、出せない」という訳ではない。


さらに言うと、2年ほど前に、日経の広告収入が読売に迫るぐらいの勢いで伸びてきたんです。そうなると広告営業上、「300万部と1000万部の違いは何なのか」という話になってきます。つまり、「部数、シェアー=広告単価」という黄金律が消滅してしまったんです。


――それでは、販売収入が落ち込んでいる理由は何でしょうか。


河内 やはり、「新聞離れ」でしょうね。若い人は新聞を読まないし、お年寄りは読んでも購読していない。図書館や公民館なんかで読んでいるんですね。


この原因は、携帯電話の普及にあるのではないかと思います。今、何だかんだ言って、携帯代金は、1世帯あたり2万円はかかるでしょう。その反面、「家庭で情報収集のためにいくら使いますか」という問いには、「2万円以下」という答えが圧倒的に多い。そうなると、減らされる対象は、月4000円の新聞とNHKにならざるを得ない。世帯別の購読率が下がって、販売収入に響いています。一般家庭だけでみると、購読率は50%を切っている、というデータもあります。


(略)


――ネットとの関わりについてはいかがでしょうか。各社とも苦戦しているようですが、収益源にする方法はありますか。


河内 新聞社が大挙してネットに押しかけても、ポータルサイト、ヤフー、グーグルといったプラットフォームに儲けられるだけですよ。ストレートニュースのように、いったん消費者に無料にしたものは、後から「お金くれ」と言っても無理です。そこで、新聞社にしかない情報を発信する有料の専門サイトを作れば良いのではないでしょうか。ロング・テールの考え方です。


例えば、農水省のクラブには大量の資料が配布されて、10以上の業界紙でも、その内容を全部は紹介し切れていない。ネットならば、業界紙よりも詳しい情報を発信できるはずです。「じゃがいも新聞」「まぐろ新聞」とか。細かい、ニッチな情報を掲載するサイトをつくって有料で読んでもらえるようにすれば、可能性はあるのではないでしょうか。「お金を払ってもらえるコンテンツ」は、存在するはずです。


新聞社は、凋落しているデパートのビジネスモデル。「すべてがそこにある」ということは「読みたいものが何もない」になりかねない。オール・イン・ワンの新聞の使命は終わったことを認識して、金になるニッチな細かい情報を配信するような形で出直すべきです。

ビジネスモデルが崩壊 身を削ぐような合理化が始まる (連載「新聞崩壊」第10回/ジャーナリスト・河内孝さんに聞く)- J-CASTニュース 2009/01/08 -

新聞の発行部数がアメリカの3倍近くあるのには驚いた。それだけ販売して赤字とは、よほど経営に問題があるのだろう。
情報は活用できる状態になってないと情報とは言わない。煩雑に並んだ数値に価値は無く、それらを整然と並べて意味のあるものにして始めて価値が出てくる。情報に価値を付けて販売するのが報道機関のビジネスモデルであるならば、高度に情報化している現在、上記のようなニッチ新聞を作ると言うのは極めて重要な生き残り策であると思われる。
とは言え、新聞記者の方方の専門知識の無さ、そして情報に対して疑いを持たない体質は以前から指摘されてはいるので、実現可能かどうかは非常に怪しい。

 確かに、公共圏の存在と維持は、重要なことだ。そして、プロのジャーナリストの大きな役割が「公衆の番犬」であることも間違いない。


 しかし、そのことと、いまの日本の報道機関が現実にその役割を果たしているかどうかは、別問題である。


 とくに経済政策について、日本の巨大メディアが番犬機能を果たしているとは、到底思えない。むしろ、政府のプロパガンダの伝達役でしかないことが多い。政府の宣伝文句に何の疑いも持たず、受け売りで報道している。これでは、番犬とはいえない。このことこそが問題だと、私は思う。

「食料自給率40%」の虚構さえ見抜けぬマスメディアの不勉強 日本のマスメディアは「公衆の番犬」ならぬ「既得権益の番犬」か? - DIAMOND ONLINE 2008/09/29 -

情報を売るには高度な知識と知恵が必要だ。情報を集める作業も大切だが、新聞社の方には情報を整理する作業にもっと注力して欲しい。そうやって初めて他紙との差別化が図れるのではないだろうか。
情報だけなら個人のブログでも十分だ。しかし多岐にわたる高度な分析は、組織力をもった専門集団にしかできない。新聞社の価値はそこにあると私は信じている。


民放も赤字。

 日本民間放送連盟は15日、全国のテレビ局127社のうち43%にあたる55社が2008年9月中間期に経常赤字になったことを明らかにした。広告収入不振に加え、2011年7月に予定する地上デジタル放送への完全移行に向けた設備投資が収益を圧迫した。広瀬道貞会長は同日の記者会見で民放の経営状況について「民放連の58年の歴史で最悪」と語った。


 民放連に加盟する194社の地上波テレビ局とラジオ局のうち約47%にあたる92社が中間期に経常赤字を計上。テレビ局に限れば127社のうち55社が赤字だった。09年3月通期の見通しについて広瀬会長は「さらに悪化していく恐れがある」と厳しい認識を示した。


 地デジへの移行完了に向けた放送業界の設備投資額は民放だけで1兆円超にのぼる。同会長は「ローカル局の投資額は各30億―50億円で、各局の利益の約10年分」と説明。一方で「(減価償却負担が増す)当面の局面を乗り切れば、またテレビの時代になる」と力説した。

民放、55社が経常赤字 08年9月中間、地デジ移行への投資響く - 日経ネット 2009/01/15 -

そもそも視聴率が落ち込んでいる今、今のままでまたテレビの時代になるかは疑問だ。
新聞社と同じように、今のような何処のチャンネルを合わせても同じような番組を流すのではなく、局毎の個性を感じるような編成にしてはどうだろうか。専門チャンネルが生き残っているのは、チャンネルの色がはっきりし、目的を持ってテレビを見れるからではないだろうか。
単に情報を垂れ流すだけの今のスタンスでは魅力が薄く、いずれ消え行くだろう。


雑誌も落ち込み。

 出版科学研究所は26日、2008年の出版物の推定販売金額を発表した。


 雑誌は前年比4・5%減の1兆1299億円と11年連続の減少となり、落ち込み幅も過去最大となった。7点のミリオンセラーがあった書籍は、販売部数こそ前年比0・6%減にとどまったが、販売額は、1・6%減の8878億円と2年連続で減少した。この結果、雑誌、書籍を合わせた総販売額は対前年比3・2%減の2兆177億円と、4年連続の減少となった。


 同研究所では「分冊百科などの目的が明確な雑誌は好調だが、定期雑誌の目減りが大きい。若い読者が増えておらず、厳しい状況が続く」と分析している。

昨年の雑誌販売、11年連続の減少…落ち込み幅は過去最大 - 読売新聞 2009/01/26 -

民放機関と同じよう、やはり情報を垂れ流すだけの出版物には魅力が無いのだろう。専門誌が好調なのは、雑誌と言うメディア自体の魅力は未だ高い事を如実に物語っている。


最後に専門医療機関の赤字。こちらは不況の所為ではないが、かなり深刻な問題である。

 10年度に独立行政法人に移行する国立がんセンターなど厚生労働省所管の国立高度専門医療センター6機関(8病院)の借入金残高が計1700億円を超えることが22日、厚労省の試算で分かった。大半の病院で経常支出が経常収入を上回り、国の十分な支援がなければ経営そのものや、医療の質の低下などが懸念される。


 国立高度専門医療センターは、がんや循環器、子どもの疾患などの先進医療を担う。独法化は、研究成果の実用化推進や優秀な人材確保などのため、昨年12月に成立した法律で決まった。この過程で厚労省が初めてセンターごとに借入金を試算した。


 資料によると、借入金残高は、国立がんセンターが583億円と最多。国立国際医療センターの357億円、国立成育医療センターの343億円−−と続き、計1732億円に達した。経常支出に対する経常収入の割合(収支率)は07年度現在、国立がんセンターの中央病院と東病院が100%をやや超えたが、他はそれ以下で、自由に使える財源は乏しい。


 中央病院など比較的最近できた病院は、民間に比べ、1床当たりの建設費が約1億円と約3倍高い。厚労省は「借入金は建物や医療機器の整備に充てた。高機能病院のため建設費が高くなり、借入金が膨らんだ。独法化後も運営に支障がないよう財政当局と調整し対処する」としている。【河内敏康】


 ◇上昌広東京大医科学研究所特任准教授(医療ガバナンス論)の話
 独法化すれば、各センターは独立採算を取らなければならず、これだけ大きな借入金の返済はまず不可能。一般病院にはない、がんなど特定疾患の高度な専門治療を行う目的があり、経営困難から不採算部門を切り捨てるようなことがあってはならない。ここまで放置した国の運営責任も重い。対応策を講じるべきだ。

国立高度専門医療6機関:借入金1700億円超す - 毎日新聞 2009/01/23 -

高度な目的を持った医療機関には相応の対価を国が支払うのは必要な事だと思う。人件費が高い日本において、技術力を高める事は国の存亡にかかわる問題である。不況だから、歳入減だからと言って削って良い部分ではないだろう。

消費行動は投資であると言う考え

【5】本当に大事だと思うものに、お金を出そう」について。

 「不景気なので節約している」と言う人は多いでしょう。お金は大事に使うべきですし、無駄なお金は使わない方がいいのも当たり前です。


 しかしむやみに節約するのではなく、「大事なものにはお金を使う」ことも、重要なことです。「お金を使わないと経済が回らない」というだけではなく、お金を使わないと自分の大事なものを守ることができないからです。


(略)


大事なもの、好きなものを残すために


 「単行本にも広告を入れて価格を下げるべきだ」という意見もあります。テレビCM、雑誌のタイアップ広告、キャンペーンなど、今や商品やサービスには広告がつきものですが、「広告を導入するビジネスモデル」だけが、よいわけではありません。


 単行本は広告がない分、読者のことだけを考えて作ることができますから、挑戦的なテーマやマイナーなテーマにも取り組めるのです。


 一方で消費者は、自分にとって必要なものには意識的にお金を払っていくことも大事です。広告に依存しているだけでは、広告が少なくなるとその商品やサービス自体がなくなってしまうこともあります。


 「タダだった」「節約できた」「もうけた」という目先のことばかり見ていると、その時は得したように見えても、結局は自分の損になってしまうこともあります。


 もちろん「本なんて時間つぶしだからお金はかけたくない」と思う人や、「この厳しい家計では本にはお金をかけられない」と思う人は、本にお金をかけなくてもいいと思います。


 しかし、自分の好きな作家や、「あんまり知られてないけど応援したい」という作家の本だったら、お金を使った方がいいのです。自分の好きなものや残したいものにお金を使っていかないと、それがなくなってしまってから残念がっても遅いのです。


 また私と同業の編集者でも本を買わなかったり、しかもなぜかそれを自慢げに語ったりする人もいるのですが、自分の所属している世界にはお金を使うべきだと思うのです。「身銭を切らないと身につかない」と昔から言いますが、これはやはり大事な考え方だと思います。


 もちろん本だけではありません。映画や音楽でも、いつもレンタルだけではなく(レンタルでも著作権料は入りますが)、好きな監督やアーティストの作品なら、映画館に行ったり、ライブに行ったり、DVDやCDを購入したりしてはどうでしょう。


 好きな飲食店だったら、しばしば通うようにする。また好きな店があれば、ちょくちょく買い物をする、ということが大事なのです。その作品や店を応援するためには、きちんとお金を使うことが一番であり、支持の表明であり、守ることになるのです。


消費や声が「投資」になる


 経済活動は「投資」です。自分にとって大事な世界や守りたい世界を、「自分の投資で守ること」は大事なことです。


 好きなものにお金を使って応援をすることは投票活動と同じで、作り手に対する「あなたを支持している」という意思表明でもあります。


 支持することを「お金」で表すのが難しければ、「声」を使ってもいいのです。本を読んだら読者カードなどで出版社に感想を伝える、好きなテレビ番組なら番組のホームページに感想を書き込むなどでもいいでしょう。


 ブログやSNSソーシャル・ネットワーキング・サービス)の日記を持っているのであれば、そこに自分の好きなことやものについての評価を書けばいいのです。


 作り手はブログなどを検索して、自分の作ったものへの反響を見ているものです。私も時々、自分の記事の反響をインターネットで検索しています(もちろん、ここで頂くコメントも参考にさせていただいています)。


 少し前までは、普通の人が声を上げられる場は新聞や雑誌の投書欄くらいに限られていました。しかも投書欄は、編集の手が入ることもあります。自分の書いたものがそのまま発信されるブログは、自分の好きなものを残すために利用できるメディアでもあるのです。


(略)


 私たちも、100円でも1000円でも誰かに対する支持を表明する力になり、大事なものを守ることにつながるのだということを、自覚することが大事だと思うのです

【5】本当に大事だと思うものに、お金を出そう お金を使うことで、好きなものを守り、支持の表明にもなる - 日経ビジネスオンライン 深澤真紀 -

知人に「量販店で実物を調べ、それが気に入ったら、ネットで最安値を探してそこで購入する」と言う行動をとる人が居た。
その人に言わせると、「量販店で購入する人は、最安値を知らない情報弱者」だそうだ。「その様な消費行動を皆がしていたら量販店が成り立たなくなり、結果実物を調べると言う事ができなくなる」と指摘すると、「馬鹿は必ず居るから潰れない。万が一潰れたら別の店に行く」と一蹴された。
本人には、社会インフラを食いつぶしていると言う自覚は無いらしい。


売店の店員が懇切丁寧に説明してくれるのは仕事だからである。
そして当然の如く、仕事をすれば賃金が発生する。その賃金の発生源は、商品の売上代金である。店員に説明を聞いた上で商品が気に食わないと言うならまだしも、気に入った商品まで他店で買われては、その店員はただ働きをしただけに終わってしまう。


無駄遣いしない事を「賢い」と評す事がある。この「無駄遣いしない」と言う部分を「最安値で買う」と言うように変換し、「最安値で買うことは正しい事」と言う人が居る。
しかしそれは大きな間違いだ。最安値で買うことは賢い買い物ではなく、同じく無駄遣いしないということは、最安値で買うということではないのだ。


私の経験による話。
私は趣味で車をよく弄るが、弄ってもらう店は1店に絞っている。最近は工賃をネットで公開している店があり、そういう店と比べると場合によっては多少高い事もあるが、それでも一貫してそこを使い続けている。
結果、思わぬ作業工賃が安くなる事がある。
自分が保守作業をやった人であれば分かるだろうが、他人・他社の製品を保守するのは、自分・自社の製品を保守するよりも難しい。特に他社で保守を経験した後に回ってきたものは、前回の保守作業でどのように直されているのか分からないのがネックになり、保守作業が一層難しくなってしまう。
その為、初めてのお客様の保守費用は多少多めに掛かってしまう。逆に以前受けたお客様であれば、そう言ったことが無い分保守費用は安くなるし、付き合いが長くなれば「前回多めにもらってしまったから今回はその分安くしよう」と言う事にもなる。一つのお店と長く付き合うと、店側としては長期的な収入源としてお客を見てくれるので、価格も良心的なところに落ち着く。
逆に「この客は長く続かない」と判断されると、その時時で確りと利益を確保されるので、料金は高くなる。
車の趣味を10年続けようと思った場合、この金額の差は大きい。
また金額以外の部分でも利益を得られる事もある。私の場合、長くお付き合いした事もあって、お店の設備や工具を無料で貸してもらえる。こういった設備を時間貸ししてもらう場合、1時間2000円程度必要だが、朝8時から夜20時まで使わせてもらっても無料であるし、壊れた車をリフトで持ち上げ、部品を取り外して自走できない状態にしておいても、そのまま廃車手続きをしてくれる。


もちろん無料で貸してくれるといっても借りた後には手土産を持っていくし、借りた分だけ業務のお手伝いを(できる範囲で)させて頂いたりする。こう言った紙幣を介さないサービスのやり取りの部分がソーシャルキャピタル(=社会関係資本)と言う部分であり、この部分が増えてくるのが今後の日本にとって望ましいことだと思っている。
「賢い金の使い方ができる人」というのは、万事この様な消費活動が取れる人のことなのではないか、と私は思っている。とは言えそれも相手次第。
もちろん、この様な消費行動が取れるのは相手にもかかっている。だからこそ人を見る目を養うのが重要なのであり、見た目等の表層でしか人を捕らえない方は、経済的な部分でも損をするのである。


なので私は、筆者の言うような「消費活動を投資と捕らえ、長期的なリターンを考えて消費活動をしていく」と言う事は、きわめて重要だと思っている。
ちなみに「車の趣味」と言う金のかかる趣味も、長期的な視野で言えば私に経済的な恩恵をもたらしてくれた。様様な方方と知り合う事ができ、職を失った際にはそうやってであった方に職を紹介していただけた。
自らの消費活動で多くの人とかかわりあう事ができると言う、ただその事が重要なのだと言う事をもう一度考えてみてはいかがか。

政権交代を重視して国民生活をないがしろ

19日、民主党の審議拒否によって空転していた国会が、6日ぶりに審議再会。

 参院予算委員会は19日、麻生太郎首相と全閣僚が出席して、定額給付金を盛り込んだ08年度第2次補正予算案と、給付金部分を削除した民主、社民、国民新の野党3党が提出した修正案について基本的質疑を始めた。13日の衆院での2次補正採決以降、民主党の審議拒否で空転していた国会は6日ぶりに正常化した。


 消費税増税の時期について、首相は「しかるべき財政収入がないと安心した財政出動もできない。11年までに景気を立て直し、財政の無駄(遣い防止)や行政改革をやったうえで、中福祉をやるなら中負担をお願いせざるを得ない」と述べ、改めて11年度からの消費税増税を目指す姿勢を示した。椎名一保氏(自民)への答弁。


 基本的質疑は20日まで。2次補正について与党は23日の本会議での補正と関連法案の一括採決を目指すが、民主党は一括採決には応じない方針。与党は、衆院で09年度予算案との「並行審議」に入ることも視野に、民主党への圧力を強める。

2次補正予算案:参院で審議入り 国会6日ぶり正常化 - 毎日新聞 2009/01/19 -

20日、再開したと思ったら、民主党の石井副代表が予算委員会の場でこのような質問。

 麻生太郎首相の漢字の使用、読み方をめぐり、20日の参院予算委員会で、民主党の石井一副代表が首相にかみつく一幕があった。


 石井氏は、月刊誌「文芸春秋」の昨年11月号に掲載された首相の手記で使われた「就中(なかんずく)」など12個の漢字を並べたボードを用意し、「相当高度な漢字だ。これを隠して、どれだけ読めるかやってみたかったが、先に渡してあるから今なら読めるだろう」と首相を挑発した。


 これに対し、首相は「多分、みなさんが読みにくいのは『窶し(やつし)』ぐらいではないか。後の漢字は普通、みなさん読める」と答えたが、さらに石井氏は「もしそうなら、なぜ未曾有を「みぞうゆう」、踏襲を『ふしゅう』と言うんだ。おかしい。強弁だ」と反論した。

民主の石井副代表が首相に漢字でかみつく 参院予算委 - MSN産経ニュース 2009/01/20 -

予算委員会で首相の漢字読解能力が重要になるのだろうか。これには流石に批判が殺到。

 20日の参院予算委員会の質問で、民主党の石井一副代表が麻生太郎首相に「漢字テスト」をした直後から、石井氏や同党本部に苦情が相次いだ。


 関係者によると、21日までに電話や電子メールで寄せられた声は「経済が大変なときに税金を使って何をやっている」「何の目的があるのか」といった批判的な内容が大半。民主党支持者と名乗る人からは「そんなことで政権がとれるか」と厳しい注文がつけられたという。


 民主党本部はこの件については「答えられない」としているが、中堅議員は「失敗。党のイメージが悪くなる」と渋い表情だ。

民主・石井氏らに批判殺到 首相への「漢字テスト」 - MSN参詣ニュース 2009/01/21 -

自民党に対しては「説明責任を果たせ」と強弁するわりに、自らの説明責任を果たそうとはしないダブルスタンダードな姿勢は、民主党が政権を取った場合に自民党政権と変わらない状態になる事を示している。
人の振り見て我が振り直せと言う言葉を民主党議員の方は知らないらしい。


どうやら民主党は、国民の生活よりも政権交代にしか興味がないようだ。審議拒否や意味不明な水増し質問を繰り返し続ければ、この状況下で国民生活により一層の負担がのしかかってくる可能性がある。

 政府が2009年度予算案の関連法案として国会に提出する関税暫定措置法案が08年度中の3月末までに成立しなかった場合、1500〜2000億円の国民負担が生じる可能性があることが19日、政府の試算で明らかになった。


 輸入品にかかる関税への軽減措置の期限が切れ、外国産の牛肉やたばこなどが値上がりしかねないためだ。政府・与党は、軽減措置を延長する「つなぎ法案」の提出も検討する。


 関税法案は417品目が対象。このうち415品目について軽減税率の適用を来年3月末まで1年間延長し、2品目については無税とする内容だ。


 法案が年度内に成立しない場合、軽減税率は期限切れで失効する。関税が現在、無税の紙巻きたばこは、1箱あたり12円程度の値上げが想定され、ウオツカの税率も無税から16%に引き上げられる。


 税率が38・5%に軽減されている牛肉は、本来の税率である50・0%が適用される。オーストラリア産ステーキ肉は100グラムあたり14円程度の値上げにつながるとみられる。


 予算関連法案が野党の反対などで年度内に成立しなくても、軽減措置を延長する「つなぎ法案」が年度内に成立すれば、負担増は回避できる。

関税法案、年度内成立なければ牛肉・たばこが値上げに? - 読売新聞 2009/01/20 -

「国民生活第一」を謳う民主党の国会運営の結果がこれである。まあ本当に国民生活を第一に考えているかは、民主党党大会での発言を見れば分かる事だが。

 自民、民主両党は18日、都内でそれぞれ定期党大会を開いた。政権選択を問う次期衆院選が秋までに必ずあるだけに、麻生太郎首相、民主党小沢一郎代表は対決色を鮮明にした。


 首相は自民党大会の演説で「経済危機にきちんと対応策を示せるのは自民党しかあり得ない。私が先頭に立って戦い、不況克服に全力を挙げる」と政権維持に強い意欲を表明。社会保障制度の維持には「給付に見合った負担が必要だ」と述べ、税制関連法案の付則への「2011年度からの消費税増税」明記は譲れないとの立場を強調した。


 小沢氏は党大会のあいさつで「政治の役割は国民の命と暮らしを守ること。権力行使の目的さえ見失った政権は一刻も早く消え去るのみだ」と、早期の衆院解散・総選挙と政権交代を訴えた

自・民が党大会開催 首相「不況克服」、小沢氏「政権交代を」 - NIKKEI NET 2009/01/18-

「政治の役割は国民の命と暮らしを守ること」と発言するのであれば、目下の課題は「政権交代」ではなく「自民党と連携しての不況脱却」であろう。
審議拒否を繰り返した挙句、予算委員会で副代表の地位にあるものが的外れな質問をし、結果国民生活により一層の負担を強いる恐れがあって尚、具体的な目標が政権交代でしかないような民主党
このように、この不況さえも政権交代の手段にしか考えていないような政党を応援する事は出来ない。政権交代を訴えるならば、政権担当能力があるところを示せるような政策や質問を行うべきだ。


ちなみにgoogleの検索結果では「民主党が政権を執る」よりも「民主党が政権を取る」の方が10倍程多いが、これは漢字の書き間違いと言う事よりも、民主党に対する率直な印象のように思う。
つまり「民主党は政権を奪取できる(=取れる)だろうが実務能力がない(=執れない)」と言う事だ。私の友人らの多くは「民主党に一旦政権をとらせて自民党を反省させ、改めて自民党に政権をとらせないと国が良くならない」と言う。民主党に長期的な政権担当能力を求めているのではなく、自民党への抗議の意思表示を示したいだけなのだ。
残念だが、それが民主党に対する国民の評価なのだろう。

喫煙に対する考え

前述のエントリーを踏まえて、私の喫煙に対する考えを少し。
「少し」と断っておきながら、書き始めたら多少長くなってしまったので、冒頭にて要約しておく。


私の喫煙に対する考えは下記の2点である。
・喫煙は個人の趣味に過ぎないのだから、各種サービス業に於いて「喫煙が可能かどうか」はサービス差別化の手段として店舗側に委ねられるべきである。
・喫煙は個人の趣味に過ぎないのだから、公共施設/設備にて無制限に許可する必要は無い。


私は嫌煙者であるが、昨今のような異様なまでの喫煙者叩きには賛同しかねる。


例えば全ての飲食店を禁煙にせずとも良いし、分煙の必要性も無いと考えている。
客がそのような店をどのように評価するのかは市場原理に任せれば良いだけのことで、「喫煙が出来る」というサービスがその店の特徴となり得るならば、サービス業が発達した現在においては他店との差別化を図るための重要な要素であると言える。
逆に言えば、このようなことを一律に法律で規制してしまうような事は、多種多様なサービス形態を否定することにつながりかねず、外食産業は価格競争のみでしか生き残ることが出来なくなる。それはサービス業の衰退と同義である。


非喫煙者のことを考えて全ての飲食店は禁煙/分煙すべきだ」と主張するのは、例えば「非飲酒者のことを考えて全ての飲食店は禁酒すべきだ」と主張するのと同じように、がお門違いな主張である。飲酒が出来るか出来ないかというのはその店の方針であって、決して法律によって規制されるべきことではないだろう。
飲酒可能な店を「酔っ払いがいるから行かない」と敬遠するか「酒が飲めるから行く」と迎合するかは消費者の勝手である。煙草も同じで「煙草を吸う奴がいるから行く」のか「煙草が吸えるから行く」のかは、消費者次第であるべきなのだ。
嫌煙者のことを考えろ」という発言は「喫煙者のことを考えろ」と言われてもおかしくない一方的な主張であり、そのような発言は控えられるべきであると思う。


しかし公共設備や施設と言った公共サービスに於いては、非喫煙者を主軸においた設計をされるべきである。
本来ならば、道路や公園、公民館等と言った誰もが使う公共設備/施設については、喫煙者は子供やお年寄り、また嫌煙者がいる事を想定した上で、自らの意思によって喫煙衝動を抑えるべきなのが望ましい。しかし喫煙者が「禁煙ではないから」とルール(=規則)に定められていないことを理由にマナー違反を犯すのであれば、規制していかねば仕方が無い。
「規制されていないからやってよい」のでは無く「他人に迷惑がかかるだろうから控える」と言う「察しと思いやりの精神」があれば、無粋な規制によって人人を取り締まる必要は無い筈なのだ。


そう言った価値観を培うためにも、初等教育での道徳教育は必要であり、また日本がそう言った価値観を持っている単一文化であるべきであると思う。多民族国家を目指すのはそう言った社会関係資本を徒に喪失させるだけであり、長期的に国民の生活を苦しめる要因になってしまう。


話を戻す。
公共サービスに競争原理は必要無い。つまり喫煙が出来るか出来ないかと言った類の選択肢は必要無く、「どちらがより多くの利用者にとって有意義であるか」と言う点のみで提供されるべきことである。
とは言え、そう言ったものはリスク面も十分に加味されるべきであり、単に賛同者が多いからと言う理由だけで許可すべきではないのも確かである。


「民主主義」を理由に「多くの有権者が望んでいれば何をしても良い」と言うのでは、無秩序化に繋がるだけである。有権者の望むものを実現しようとするのが政治家であるならば、それが実現不可能であると実務者(=官僚)に判断された場合、有権者に不可能な理由を説明するのが政治家であろう。
有権者が望んでいることを無尽蔵に適えるようなことをしてしまえば国は破綻する。例えば「有権者全員に1000万円支給します」と言うのを公約にして立候補した政党が政権をとり、「そんなことをしたら国庫が破綻する」と言う実務者の声を無視して断行してしまったら、日本経済は大混乱を起こすだろう。結果として有権者はより一層の不幸に見舞われる。
それが民主主義における正しい政治家のあり方だと言うのだろうか。「国民の視点に立つ」とどの政治家も声高に叫び、有権者の耳に良い政策を打ち出しているが、自らの政策が現実不可能なことであるとを真摯に受け止め、その理由を国民にわかる形で説明している政治家が居るだろうか。
金は湯水のように沸いてくるものでもないのに、「年金の維持を」「社会福祉の拡充を」「教育改革を」と唱える政治家が、同じ口で「増税反対」を唱える。財源は「行政改革」と言うが、同時に800兆円を越える国債を処理するには行政改革だけでどうにかなる問題ではなかろう。
加えていうならば、800兆円の国債を背負うようになったのも、政治家が国民の際限無い欲望を実現させようとしてきたからなのである。「選挙に勝つ」と言う目的の為に甘言を用いて国民を欺いてきた結果が、歳入の数十倍にも上る借金なのだ。これは政治家だけではなく、全ての有権者が真摯に受け止めなければならない事実である。その上で我我は次世代に繋げる政治をどのように考え、どのような政治家を選ぶのかが重要である。


また話がずれてしまった。「公共サービスは禁煙であるべき」と言うところまで話を戻す。


私は公道も公共設備の一つであると考えているので、歩き煙草は全面的に禁止すべきだと考えている。
他の歩行者に対して煙を撒き散らし、また後ろを歩く歩行者に灰を飛ばし、あまつさえ煙草の火によって人の服を焦がしたり、最悪火傷を負わせたりする。本人以外にとっては害悪でしかない存在である。が、本人はそんな事に全く気づいている様子が無い。
自転車に乗りながら煙草を吹かす方方も、自動車の窓から灰を落とす連中も同様である。高速で移動しながら煙や灰を撒き散らし、あまつさえ吸殻を適当に投げ捨てる様は、非常に腹立たしい。もし窓から投げ捨てた吸殻が、後ろを走っていた二輪車の運転手の目に入って大惨事を引き起こしたらどうするのだろうか。
公園で転倒して死亡した場合に市の管理責任が問えるのならば、歩き煙草と言う危険な行為を野放しにして起きた問題についても、市道であれば市の、国道であれば国の管理責任が問われておかしくない。
鞄の中を漁って出てくるか出てこないか分からない刃物を探し、見つかったら銃刀法違反で逮捕するよりは、むき出しの煙草を持ち歩いている連中をさっさと逮捕すべきである。


自由であると言う事は自分勝手に振舞ってよいと言う事ではない。自由は天から無条件で与えられるものではなく、自分たちが勝ち取った権利なのである。自由である人人は自由を守る努力をし続けなければならない。
その一例が喫煙なのである。
煙草を吸う/吸わないは個人の自由である。
しかし喫煙者の自分本位な行為が非喫煙者からの反感を買い、喫煙者自身の社会的立場を弱め、結果として今のような喫煙者叩きを生み出す土壌となってしまった。このような流れは他の自由を持つ人人が反面教師とすべき点である。


喫煙者の排除が済めば、次は肥満の排除が始まるかもしれない。
既にアメリカでは「肥満税」が検討されている。この流れは日本にも(歪曲された上で)導入されるかもしれない。

 ジャンクフードへの課税は肥満問題への有効な対策となるだろうか。物議を醸すこの方策は、まだ実行されたことはない。だが財政破綻の危機と肥満率の上昇に直面する中、世界各国の議会・政府が「肥満税」と呼ばれる新税の導入を真剣に検討し始めている。


 とりわけ積極的なのが米ニューヨーク州デビッド・パターソン知事で、2009年度から高カロリーの炭酸飲料や砂糖入り果汁飲料の販売価格に18%の税を課すことを提案している。これにより、4月からの新年度には4億400万ドル(約360億円)、それ以降は年間5億3900万ドル(約480億円)の歳入を確保でき、その全額を肥満対策の公衆衛生プログラムに充てるという。


 パターソン知事の提案は既に清涼飲料業界から猛反対されているが、もし実現すれば、こうした大規模な課税は世界初となりそうだ。とはいえ肥満税という考え方は、英国の野党保守党のデビッド・キャメロン党首、米サンフランシスコのギャビン・ニューソム市長、フランスの税制当局、カナダやオーストラリア、アイルランドの一部地域の政治家など、様々な方面で支持が徐々に広がっている。


 実際には、パターソン知事の課税案は全く前例のない試みというわけではない。米イリノイ大学シカゴ校(UIC)の保健政策研究所(IHRP)が最近行った調査によると、少なくとも全米27の州で、自動販売機での販売を中心に、砂糖菓子や炭酸飲料、焼き菓子などのジャンクフードに7〜8%の税を課している。価格1〜2ドル程度の食品ではほとんど気づかない額だ。


喫煙を抜いて死亡原因トップに?


 米成人の実に3分の2、子供や青少年でも3分の1が軽度の肥満(BMI=25以上30未満)または完全な肥満だ。米疾病対策センター(CDC)の推計によれば、米国での肥満による直接的な医療費支出は900億ドル(約8兆円)を超える。


 米民間調査機関の全米産業審議会(コンファレンスボード、CB)は昨年4月、従業員の肥満に関連して企業が被る医療費負担と損失労働時間を、年450億ドル(約4兆円)と試算している。


 今や肥満は、米国人の予防可能な死亡原因で、第1位の喫煙に迫ろうとしている。肥満率とは異なり、米成人の喫煙率は1964年の42%をピークに下がり続けている。CDCは昨年11月、米国の喫煙率が史上初めて20%を下回ったと発表した。15年前から極めて高額なたばこ税を課すようになったことが、喫煙率低下の大きな要因だと公衆衛生問題の専門家は評価する。

「肥満税」で肥満問題を改善できるか? 高カロリードリンクに新税を検討中

喫煙者が「医療費の圧迫」を理由に糾弾されたのと同じ道を肥満も辿るのかもしれない。又は「肥満は年間の二酸化炭素排出量が標準的な人よりも多い」等と言った環境面での突き上げさえあるかもしれない。
また「喫煙者ではないから」「肥満ではないから」と、自分が該当しないからと言って無視してよい問題ではない。

ナチ党が共産主義を攻撃したとき、私は自分が多少不安だったが、共産主義者でなかったから何もしなかった。
ついでナチ党は社会主義者を攻撃した。私は前よりも不安だったが、社会主義者ではなかったから何もしなかった。
ついで学校が、新聞が、ユダヤ人等々が攻撃された。私はずっと不安だったが、まだ何もしなかった。
ナチ党はついに教会を攻撃した。私は牧師だったから行動した―しかし、それは遅すぎた。

彼らが最初共産主義者を攻撃したとき - wikipedia 2009/01/21現在 -

喫煙者と肥満の次は何か。

煙草の煙と環境問題

タバコの煙と社会的責任 水パイプから考える「2次喫煙」」について。


筆者は煙草の煙を例に環境問題を考えてみるといっているが、筆者の意図した方向とは違うものの、非常に似通っている問題だといえよう。

もし「少なくとも環境にはやさしい」「大気を汚染しない水パイプ」といったことが実証されるなら、一定の意味はあると思います。と言いますか、科学者アタマで考えるなら、同じ分量のタバコを燃やすとして、そこから出る煙をそのまま排出するか、水を通して一定量を吸収させるかで、環境大気に撒き散らす煤煙の量は明らかに減少する筈ですから、結論は分かっているような気がします。

タバコの煙と社会的責任 水パイプから考える「2次喫煙」

この発言は現在の環境問題に対する姿勢そのものである。つまり、二酸化炭素の排出量と言うものを環境破壊の基準に据えて、「二酸化炭素の排出量さえ低ければ環境にやさしい」と言っている現在の風潮そのものだ、と言うことだ。
例えば水力発電二酸化炭素の排出量が低い発電システムであるが、周囲の環境破壊と言う点では、非常に影響が大きいと言える。水力発電所を作るために川を堰き止め人口湖を作った場合、そこに生えていた植物が年間に消費する二酸化炭素の総量、ダムの維持費、ダムを作ったことによる迂回路の諸費用や維持費、迂回路を通ることによって消費される余分な燃料費とそれに伴って発生する二酸化炭素の総量等等、同等の発電量を火力発電所で実現した場合に起こりうる環境破壊よりも水力発電の方が環境にやさしいと言えるとは思えない。
もちろん水力発電所も無計画に立てられているわけではない。適した所に環境に最小限の影響しか発生しないよう建設されているのだろう。ただ「二酸化炭素を発生させないから、水力発電所は環境にやさしい」と勘違いした人が、いたるところに水力発電所を建てたら甚大な環境破壊を起こしてしまう恐れがある、と指摘しているに過ぎない。


筆者の話では煙草の害は大気汚染ということになっているが、煙草の灰が入った水を流しに捨てるのは水質汚染であるし、煙草の匂いを不快に感じる人には、吸っている人が近くに寄るだけで大気汚染だろう(直接的な健康被害が無くとも、悪臭は公害認定される)。また水パイプの製造コスト(費用面だけではなく環境面を含む)も当然加味されて考えられるべきである。
例えば煙草を吸う連中が全て水パイプにした場合、引き起こされる水質汚染はいかほどのものになるだろうか。日本の浄水施設は微生物の働きをうまく活用しているのだが、膨大な水パイプの廃液が、既存の浄水設備を無効化してしまう恐れはないのだろうか。
また水パイプの機材を作るのに必要なコストに処分するコスト、そして水パイプ用のフレーバーを作るのに必要なコストなど、様様なコストを考えた上で「水パイプの方がコストが安い」と言うのだろうか。
「煙を出さないから水パイプは環境にやさしい」とは水パイプユーザーの言い訳にもならない。特に「学者頭」で考えていただけるなら、波及される様様な問題点も同時に考えるべきであろう。それともデメリットを考えないのが学者頭と言うものなのだろうか。


単に「環境破壊」と言われても、何を以ってそう言っているのかは全くわからない。その為一定の指標が必要になるのも仕方がない。現在に於いてその指標が「二酸化炭素の排出量」になっているだけの事であって、実際二酸化炭素が増えることが環境破壊なのかどうかも分かってはいない。ただ目標として据えられたからなんとなくそれが正しいと思っているだけのことだろう。
本当に環境問題を考えたならば、人が豊かな生活をしようとする事こそが環境破壊の諸原因である事に気づける筈である。たった数キロ離れた場所に「楽だから」と車で移動するその気持ちが、環境破壊の原因なのである。
数キロ程度なら歩く、若しくは自転車で移動する方が余計なエネルギーを使用しなくてエコであろう。夏暑くともクーラーを付けずに換気だけで過ごすのがエコであろう。冬寒くとも暖房を付けずに厚着をして過ごすのがエコであろう。
しかし多くの人はそこまでしてエコを貫く気はないのである。だから金を払ってエコであるという証明書、所謂「クリーン電力証明書」を手に入れる。しかしこれは、200年後の歴史の授業で「免罪符」と同じ意味で登場するレベルのものである。免罪符もクリーン電力証明書も「自分の罪を許してもらうために購入するもの」であり、実質的な効果は無いに等しい。まあ死後の世界の事は私は分からないので、免罪符が効果が無いのかどうかは死んだ後にしか証明できないが。


物事の一面だけを見て何だかんだと言うのは非常に簡単である。
重要なのは、物事を多面的に捉えてその長所短所を分析した上で、現在必要な事なのかどうかを考えると言う事である。
煙草の問題が身近な環境問題であると言う筆者の意見に賛同するのは、上記の理由に過ぎない。


始点と終点が同じでも過程が全く違うというのは面白いものだ。

物物交換の未来性

NHKの番組「地域発!ぐるっと日本」にて、「クローズアップ東北」を放送していた。
その内容に非常に興味を引かれた。
その内容とは、とある村同士が地元の特産品を交換し合い、お互いに必要なものを補完しあう仕組みを作った、と言うもの。炭焼きをしている村は炭を提供し、それを必要とする漁村は魚等の食料とその炭を交換していた。それぞれを必要とする者同士が直接取引きをしあうことで、市販価格よりも安価で必要とするものが手に入ると言うメリットがある。


直接生産者と消費者が市場を通さないでモノを取引すると、モノの値段は非常に安価になる。
分かりやすく言えば、中古本を古本屋に売るのとネットオークションに出品するのとで差があるのと同じ事。古本屋という仲介業者を通さない事によって仲介業者の手数料分だけ本の値段が高くなる。もちろんその分だけ売り手側の労力は増えるので、仲介業者を使うと言うのも選択肢では有り、仲介業者の存在自体を否定するものではない。
ネットオークションを使った方には経験があるかもしれないが、個人間で売買をした際の労力と言うものは、手間に関することだけではない。売買時のトラブルや様様なクレーム等、スムースな取引が出来ないと言った問題が発生する可能性がある。そういったトラブルへの対応ノウハウは、やはり専門でやっている業者には適わない。そういった点から、仲介業者を使うのは賢い選択であるとも言える。つまりどちらの方が優れていると言うわけではなく、商品の売買についてはそれらを上手く使い分けるのが重要である。
上記の例で言えば、中間業者を通さない事は非常に有効な選択肢であろう。
見知らぬ相手との物物交換であればトラブルは絶えないだろうが、そういった枠組みを作る為に協議を重ねる事でお互いの理解が深まっているのであれば、トラブルも発生しにくいだろうし、トラブルの対応もそれほど難しくは無いのかもしれない。


地域の特産物を特産物同士で交換するようなネットワークが出来れば、一次産業・二次産業の衰退に有る程度の歯止めをかけることが出来るのではないか。一旦市場に流して現金化する事によって生じる「高くて手に入りにくい」「安く買い叩かれてしまう」と言う点を解消することが出来る。
そもそもモノを現金化する事の意味は何か。それは価値の汎用化に他ならない。例えば「米俵1俵」の価値は人それぞれであり、また時期によっても異なる。それでは取引をするのに不都合なので、「米俵1俵」の価値を誰にでも分かりやすい形にしなくてはならず、その為に現金化するのだ。「米俵1俵」は「魚100匹」とも「金100g」とも置き換えてもらって構わない。
モノの価値は常に変動し一定ではないし、またそれを必要とする人には高く売れるが、必要としない人からは安く仕入れることが出来る。その差益で儲けるのが仲介業者であり、過去においてはそういう存在がいなければ個人や小集団が販路を開拓することは難しかった。
しかし交通手段や通信手段が発達した現在に於いては、仲介業者を用いないで独自の販路を模索するのは比較的容易になっている。現金化という経緯を経ずにお互いが必要とするモノ同士を提供し会える土台と言うものは、有る程度整っている。
既存の販路に囚われて「産業が衰退する」と嘆くよりは、自ら販路を切り開くことが今後非常に重要となる。


モノの現金化は手段に過ぎない、と言うことをもう一度考えてみてはいかがだろうか。
「金持ちになること」は「豊かな生活をすること」と言う目的の為の手段に過ぎないと言うことに思い至れば、目的を達成する為の手段が一つしかないと考えるのは愚かであるという事も分かるはずだ。別の手段によってより簡単に目的を達成させられるのであれば、その手段を用いるべきである。


このようにネットワークが発達して様様な販路が確保できるようになることが、拝金主義からの脱却につながり、また豊かで多種多様な生き方への第一歩だと思う。