日本人の誇りが不況を克服する

昔は「外食」と言うことが一つのステータスだった為に「何でも注文できる」と言うファミリーレストランには魅力があったのだろうが、外食が一般的になった現在に於いては逆にコンセプトがぼやけてしまって生き残れないのかもしれない。
すかいらーくグループは低価格路線を推し進め、不採算店は閉鎖する方針。

 ファミリーレストラン最大手のすかいらーく(約3千店)は25日、09〜11年に不採算の約200店を閉めると発表した。節約志向から外食離れが進んでいるため、低価格戦略も強化。社名を冠し、70年にファミレスの先駆けとして登場した「すかいらーく」は8店を閉め、残る145店はすべて「ガスト」などに転換、姿を消す。


 ガストの客単価は約830円。これに対し、すかいらーくは1千円弱。谷真社長は「高価格帯では苦戦が続く。700円台に突入する業態開発も進める」と語った。すかいらーくを含め、約300店を低価格店に転換する。年4回のメニュー改定も2回に削減。メニュー数も1〜3割減らし、食材の量を切り詰めるなどして、10年に経常損益の黒字化を目指す。


 また、財務体質を強化するため、筆頭株主の投資会社、野村プリンシパル・ファイナンスを引受先にした約500億円(うち優先株200億円)の第三者割当増資を29日付で実施する。

「すかいらーく」が消える 閉鎖・「ガスト」などに転換 - 朝日新聞 2008/12/25 -

逆に馬車道等、外食と言ってもコンセプトがハッキリしている企業は出展数が増えている。もちろんすかいらーくグループに比べ出店数が非常に少ない、と言う事ものびる理由ではあるだろうが、消費者の節約志向が高まっている今、ラーメン店や蕎麦屋のような専門店に「これを食べたい」と出かける方が、はっきりとした外食の動機になるのではないか。


外食産業やサービス業に限らず、人件費が高まっている日本に於いては、産業と言うものは価格勝負よりはむしろ付加価値を推していくべきであると思う。
低価格勝負では人件費の低いことによってしか勝負することが出来ず、人件費が低くなると言うことは低所得者が増えると言うことでも有る。「労働者の給与」は、立場を変えれば「消費者の収入」だと言うことを、各企業の経営者は理解すべきであろう。下記はその顕著な例であるが、各業界が抱える潜在的な問題でもある。

 このうち「クルマ離れ」については、若者の消費の多様化や、魅力的なクルマの不在といったことが指摘されてきた。だが、昨今の雇用情勢の悪化を見ると、実は「購買力」が大きな問題であることが浮き彫りになる。「クルマなんてとても手が届かない」という若者が増えているのだ。


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 バブル崩壊後、日本企業は3つの過剰(債務、設備、雇用)の解消に走った。若年層の就労は非常に不安定になり、ワーキングプアと呼ばれる人々や、朝日新聞が名づけた「ロストジェネレーション」(就職氷河期に社会に出た20代後半から30代前半の層)を生み出した。


 国税庁総務省の統計を基に、20〜24歳の給与所得者数と人口の推移を表にまとめた。ここでの給与所得者は「1年を通じて勤務した人」の数であり、正社員が大半を占め、非正規従業員でも比較的就労が安定した人が対象と想定できる。


 その数は1995年にピークとなり、以降2006年まで一貫して減少した。この世代の人口の推移も給与所得者数とほぼ同じ傾向で減少しているので当然といえば当然。ただし、人口に占める給与所得者数の比率は1985年当時から10ポイント以上も落ち込んでいるのだ。


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 同じ非正規従業員でも企業が直接雇用する期間従業員に比べると派遣従業員の給与は少なく、しかも雇用期間もこま切れ。こうした将来の安定が見通せない若年層にクルマへの購入意欲を期待する方が無理だ。「クルマ離れ」には当事者の自発的な意味合いがあるが、そうではなく、無理やり引き離されたというのが実情だろう。


 自動車を含む産業界全体がそうした社会の形成に関与してきた。自動車業界では今年3月までの1年間で約1万8000人の非正規雇用者が削減される。未曾有の世界市場崩落という緊急事態にはやむを得ない措置とも考える。


 だが、今回の混乱は、若年層の購買力といった新車市場の問題点をさらすだけでなく、雇用創出という企業の大きな社会的使命を果たすうえでの課題を突きつけている。今の嵐が弱まれば、自動車産業は率先してワークシェアリングの導入など、安定した就労形態のモデルづくりに知恵を絞ってほしい。

若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如 派遣など不安定就労社会のツケがきた - 日経ビジネスオンライン 2009/01/14 -


収入の不安定さによって未婚率も上がる。これは将来の潜在的な購買力を失っているに等しい。

 結婚はしたいが、お金がないとできない−。結婚情報サービス会社「オーネット」(東京)の調査で、今年の新成人の結婚観が明らかになった。経済状況の厳しさに将来への現実的な視点が垣間見える。
 先月12〜15日にインターネット上で調査し、新成人の男女832人から回答を得た。
 「結婚したい」新成人は80.4%に上ったが、「経済的な基盤がないとできない」も85.2%で前年調査より約15ポイント増加。不況の影響で「結婚を先延ばしにする傾向が強まると思う」は65.7%で、「早める」の7.9%を大きく上回った。
 「家庭の経済的生活を支える責任は夫にある」と考える男性は65.0%だったのに対し、女性は43.3%。一方で「相手の収入で生活の豊かさが決まる」とした女性は67.7%に上った。
 親の世代に比べ、今後の生活が「悪くなる」との回答は52.4%と過去3年で初めて5割を突破。こうした情勢などを背景に、「自分は結婚できないのではないか」と考える新成人は約12ポイント増の75.1%となった。 

「お金ないと結婚無理」8割超=新成人、将来に不安−民間調査 - 時事通信 2009/01/11 -

結婚にどれだけのお金が必要なのか。女性側からは下記のようなアンケート結果が得られている。

 プレジデント社が実施した、学歴と結婚に関するアンケート調査(25〜55歳の4大卒男女(既婚含む)1040人を対象)の結果がネットで話題となっている。


 アンケート結果によると、男性に対し学歴を問わない女性は、全体で2割で、約6割の女性がMARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)クラス以上を許せる学歴としていることが分かった。


 また、年収に関する調査では、8割の女性が年収500万円以上が妥協点であるという結果になった(理想は700万円以上)。学歴と年収、結婚率の関係を見てみると、「年収900万円以上」はMARCHクラス以上に大きく偏っており、結婚率も非常に高くなっている。

高学歴でも低収入だと結婚率が低いとの調査結果出る - 日刊アメーバニュース 2009/01/07 -

給与所得の二分化については以前触れたが、年収500万以下と1000万以上の構成比は増えているが、500超〜1000万以下の構成比は減っている。平成15年と19年を比べた場合、年収500万以下の構成比は54.7から55.8と1.1増加、特に300万以下の構成比が2.6も増加し、その分、400〜800万の構成比が軒並み減少している。
年収500以上の方は全体の44.3なので、半数の男が結婚対象から外れるといえるが、これは全年齢をさした場合。35歳以下の男性の平均年収は500万以下であることを考えれば、未婚男性の年収で500万を超えている方の割合は非常に少ないと考えられる。
男性は結婚相手の年収を気にしないのに、女性が結婚相手の年収を気にするのは何故か。それは結婚後に就業する意図が無いからであろう。男女の雇用機会が均等化され給与格差が無くなりつつある昨今に於いて、男性の給与のみで家計を維持するのは不可能であると結婚に対する女性の意識変化が生まれない限り、現状の未婚率上昇には歯止めがかからないだろう。


労働者の所得が減った結果、日本人の購買力は低下している。そして将来的な購買力の低下を考えたビジネスモデルを考えなければならないところまで来ている。

 日本政府観光局(JNTO)による『JNTO訪日外客実態調査2006-2007<訪問地調査編>』によれば、(訪日)観光客の34.8%がショッピングを訪日動機として挙げている。前年度1位の「伝統文化/歴史的施設」、2位の「温泉/リラックス」を軽く抜いて、一気に第1位に躍り出たのだ。


 アジア勢の「買いっぷり」については、各所で報じられているため、ご存じの読者も多いだろう。昨年初め、国土交通省が中心となって、訪日客向けの旧正月イベント「YOKOSO! JAPAN WEEKS 2008」が行われた。百貨店協会によれば、その期間の訪日客の客単価は日本人の10倍に当たる6万円だったという。


 これ以外にも、100万円を超えるゴルフセットをポンと買う韓国人観光客、銀座のワインショップで高級ワインを買い占める中国人観光客等々、かつての金満ニッポンのヨーロッパ旅行を思い起こさせるような光景が繰り広げられてきた。


 中国では、日本旅行に際して多額の保証金を必要とする。つまり、それだけの保証金を積める富裕層だけが来日しているわけだ。そう考えると、消費の大きさは当然のことと思えてくる。そして、そんな彼らが持っているのが、16億枚以上発行され、その大半がデビットカード機能を持つ「銀聯(ぎんれん)カード」である。


 この銀聯カードの恩恵を得ようと百貨店や小売、サービス業を中心に加盟店が急増している。2005年12月の開始当時はわずか200店だった加盟店が、2008年9月末には12000店となり、その後も増え続けている。かのルイ・ヴィトン松屋銀座店でさえ、店頭に銀聯のマークを掲げているのだ。


 年間の取扱高も、2007年度の40億円をはるかにしのぎ、2008年度は100億円を突破する見込みだと言う。


 ビックカメラでは日本人のカード利用平均額の約5倍を消費し、資生堂ザ・ギンザ銀座本店では月間売り上げの約2割。4割に達する月もあるという、中国人観光客の買い物っぷり。それは確実に、従来の観光産業とは異なる領域にも恩恵をもたらしてきたのである。


 日本に恩恵をもたらしたのは中国人ばかりではない。『JNTO訪日外客消費動向調査2005』によれば、訪日客の日本国内消費額のうち、6割近くを物品購入や飲食、娯楽が占めている。そもそも旅行は、日常と異なる場所で衣食住を行うことでもあり、お土産購入という物品購入も付加される。


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 今後、日本の人口、特に就労人口は減少していく。仮に途中で出生数が飛躍的に上昇したとしても、そもそもの親世代の人口がすでに縮小しているため、急激な回復は望めない。つまり、日本人だけを対象にした商売をしていれば、いずれは先細りする。これは、避けられない事実なのである。


 それだけではない。日本人自身の食生活やライフスタイルも、確実に変化してきている。それによって、苦しい戦いを強いられている産業や企業もあるのだ。


 例えば和装業界。着物離れが進む中、モダン晴れ着や、反物を使ったガウンなど多くの試みがなされているものの、芳しい成果が上がっているとは言いがたい。同様に、和室が居住空間から消えたために、建具や畳を扱う業界も厳しい状況に置かれている。


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 多くの訪日客に歓迎される商品やサービスは、日本での消費額を押し上げるだけでなく、帰国後に口コミで広がっていく。そしてそれが、新たな訪日のきっかけにもなる。訪日客が増えれば、新たな商品やサービスを開発できるチャンスが更に拡大する。この好循環が、新たな輸出機会の創出や、日本という国の魅力向上をもたらすのではないだろうか。

日本人だけを相手に商売をしていては先細り? 訪日客をお得意様にするには - 日経ビジネスオンライン 2009/01/13 -

日本の商品には付加価値があると、自惚れるのではなく価値観の転換によってそう自覚し、付加価値を認めてくれる購入者を見つけていくことが今の日本には必要である。「国内でしか売れない」「日本人にしか価値が分からない」と決め付け、自らの価値を認めないのは非常につまらない。

 文化審議会(石沢良昭会長)は16日、京都市の「三宅八幡神社奉納子育て祈願絵馬」を重要有形民俗文化財に、秋田や千葉、富山の各県に伝わる農具の箕(み)や菅笠(すげ・がさ)をつくる技術など7件を重要無形民俗文化財に指定し、長野県下諏訪町の「諏訪湖の漁労用具及び舟大工用具」など2件を登録有形民俗文化財に登録するよう、塩谷文部科学相に答申した。また記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財に11件を選択するよう青木保文化庁長官に答申した。


 他の内容は次の通り。


 【重要無形民俗文化財】秋田のイタヤ箕製作技術(秋田市秋田県仙北市)▽新庄まつりの山車(やたい)行事(山形県新庄市)▽木積の藤箕製作技術(千葉県匝瑳〈そうさ〉市)▽越中福岡の菅笠製作技術(富山県高岡市)▽佐伯灯籠(どうろう)(京都府亀岡市)▽三朝(みささ)のジンショ(鳥取県三朝町)▽阿月の神明祭(山口県柳井市


 【登録有形民俗文化財】阿波木偶(でこ)の門付け用具(徳島市


 【記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財津軽の七日堂祭(青森県弘前市平川市)▽気比神社の絵馬市の習俗(青森県おいらせ町)▽お枡廻(ますまわ)しの習俗(福島県茨城県)▽鹿島みろく(茨城県鹿嶋市)▽但馬の麒麟(きりん)獅子舞(兵庫県)▽因幡麒麟獅子舞(鳥取県)▽出雲・伯耆(ほうき)の荒神祭(島根県鳥取県)▽西田のヨズクハデ製作技術(島根県大田市)▽宮島のタノモサン(広島県廿日市市)▽滝坂神楽(山口県長門市)▽神原八幡宮の取り追う祭(佐賀県伊万里市

箕や菅笠の製作技術など重要無形民俗文化財に 文化審 - 朝日新聞 2009/01/16 -

例えば箕や菅笠は、他国の農作業に利用できるかもしれない。青森県の林檎の例のように、そういった販路を官が主導で見つけるのも重要なことであろうが、日本の商社等がもっと自国の文化を理解し売れるものかどうかを考えていく事も必要であろう。
その為には日本人がもっと日本の文化と言うものを理解する必要がある。義務教育期間中にもっと「日本人らしさ」と言うものを教え、自国に対する誇りを持たせられるようにしていくべきではないか。そういう意味で、麻生総理の「欲しいもの」は私の欲しいものでも有るので、私は麻生政権を強く支持したい。

 麻生首相は12日、フジテレビの番組で、「今一番欲しいもの」を問われ、用意された色紙に毛筆で、「国家の誇り」と記した。

 世界的な経済危機からの脱却に向け、各国から日本への期待感が強いことを強調。そのうえで、「もっと自信、誇りを持っておかしくない。ぜひ持って頂きたい。自分の国、郷土に対して、誇り(を持つこと)は国の底力の一番の根源だ」と訴えた。

欲しいのは「国家の誇り」…麻生首相、テレビで力説 - 読売新聞 2009/01/13 -