全額税方式には法人税を充てられないか?

年金を税方式にすると、消費税率は最大18%という試算が発表される。

 政府の社会保障国民会議は19日の所得確保・保障分科会で、読売新聞社自民党議員連盟「年金制度を抜本的に考える会」、日本経済新聞社などが提案した年金改革案に基づき、それぞれの案に必要となる消費税率などを計算した財政試算を発表した。


 その結果、2009年度に改革を行う場合、日本経済新聞社などが提案した基礎年金を税でまかなう「全額税方式」を導入すると、現行5%の消費税率に4・5〜13%(1%を2・8兆円で換算)の上乗せが必要となることが分かった。これに対して、税と保険料でまかなう現行の「社会保険方式」を修正した読売案では2%の消費税率上乗せにとどまった。

年金改革、税方式なら「消費税最大13%上げ」…政府試算

これを受け、自民党から反対意見が表明される。

 自民党内で基礎年金を全額税でまかなう改革案を提言している議連「年金制度を抜本的に考える会」(会長・野田毅自治相)は二十日、全額税方式に切り替えた場合の政府試算について「提言への理解不足が甚だしい。現行制度を維持すべきとの考えが見え隠れする。恣意(しい)的だ」との見解を示した。


 十九日に政府が社会保障国民会議に試算を示したことを受け、急きょ試算への疑問点をまとめた。議連幹事長の河野太郎氏(衆院15区)は「われわれの提案に関する試算にもかかわらず、まったく意見が聞かれなかった。保険料でも毎年、金額や料率は上がり負担は増えるはず」と政府試算を批判した。

全額税方式の政府試算批判/自民・年金議連

一方、民主党からも批判される。

 民主党小沢一郎代表は20日午後の会見で、政府が19日の社会保障国民会議で基礎年金の財源をすべて税金で賄う「全額税方式」に移行した場合の消費税換算などの試算を公表したことについて、消費税アップを意図的に書き込んでいると批判し、政治と行政の無駄遣いを正すことが先決だと強調した。


(略)


 その上で「今、国民が行政に対して不信を抱いている。自分のことを棚にあげた議論は誰も信用しないし、信ぴょう性のない、役所に都合のいい議論にしか受けとめられない。現在の政治と行政のあり方はあまりにずさんで無駄遣いだ」と切り捨てた。

小沢代表、政府の年金財源試算は消費税上げを想定と批判

ちなみに社会保障国民会議メンバーは16人で、元トヨタ自動車社長の奥田氏や日本医師会会長の唐澤氏、京都府知事の山田氏、連合会長の高木氏などが名を連ねている。今回発表になった分科会の試算についてもPDFで提供されているし、過去数回分の議事録なども載っているので興味のある方は目を通しておくと面白いかもしれない。


さて。
社会保障国民会議の試算によると、1%の消費税アップで2.8兆円の税収アップになるとされているのだが、物凄いどんぶり勘定である。1%の消費税アップであれば2.8兆円の税収アップは見込めるかもしれないが、10%の消費税アップで28兆円も収入が増えるわけが無い。消費税の増加に伴って累進的に購買力は低下するだろうが、そう言う事が試算に含まれていない。


また、厚生年金がなくなる事による企業負担の軽減分を従来通り企業負担とさせる(18年度実績によれば保険料収入は20兆、半分が企業負担だとすれば企業負担金額は10兆円となる)事も考えられていない。厚生年金負担分を10兆だと仮定すれば、最低試算の13兆弱であれば消費税負担分は1%となり、年金負担分がなくなることを考えれば、家計への影響もかなり抑えられるだろう。非常に現実的な意見だと思うのだがどうだろうか。
それに対して企業の厚生年金負担分は投資に回せば景気がよくなると言う意見もあるが、これには賛成できない。

第6に、全額消費税による負担方式は企業と家計に影響を与える。企業にとっては、年金保険料負担が軽減され、あるいはゼロになるため、その分を投資に回すことができる。これも企業の活性化、すなわち経済効率に寄与することとなる。


家計に関していえば、消費税率15%というのは負担が重すぎるのではないか、という危惧はありえよう。しかし、重要なのは年金の保険料負担がなくなっていることである。これは負担の軽減に役立つことを強調しておきたい。


さらに、筆者のいう累進消費税は、食料品、教育関連、医療関連といった生活必需品については非課税を原則とし、財のぜいたく度によって税率を変えるので、消費税のもつ逆進性の欠陥は縮小されることを付記しておこう。家計への負担を抑制するための方策が累進消費税なのである。

とは言え、累進消費税には賛成である。国民負担が3兆円であるとするならば、高級車や高級住宅、貴金属類といったものに関しては、消費税を20%にしても良いのではないか。中国の例ではあるが、下記のような実情もあるようだ。

 だが一部の中国人にとっては、価格が割高になることで、ロールス・ロイス車の魅力が増すという。ロールス・ロイス車を所有する理由の1つは、それだけの高額品を購入できるという裕福さを示すことにあるからだ。


 「車が高ければ高いほど、金持ち層は喜ぶ」と贅沢品に対する中国人消費者の意識調査を頻繁に行うチャイナ・マーケット・リサーチ・グループ(本社:上海)のショーン・ライン社長は言う。「“高い買い物だな”と言うのが楽しい。結局金持ち自慢をしたいということだ」。

ロールス・ロイス、中国の大富豪を狙う 高い関税をものともしない超富裕層の購買力

結局金持ち連中にとっては「高額なものが買える」と言う事が重要なのである。ならば税率が高くて手が出ないほうが返ってプレミア感が増して良いとも言えるだろう。


しかし社会保障国民会議に於いて、何故「現行の社会保障ありき」で議論されるのか不思議でならない。財政的に無理な制度を維持していく必要は無い筈だ。道路然りだが、必要だからやるという姿勢では金がいくらあっても足りるわけが無い。子供の無駄遣いと同じだ。
先ずは収入規模に合わせて省庁を再編し、規模に合わせた行政サービスの提供を行うようにすべきだろう。そう言う意味では小沢氏の言うように政治の無駄を省くことが重要ではあろうが、自党の無駄遣いは増やして行くというのだから、何処まで本気で言っているのかは分からない。

 部門会議は自民党の部会に相当し、議員会館などで朝一番に開かれることが多い。しかし、自民党部会が「朝は箱弁当、昼はカレーライス」が定番なのに対し、これまで部門会議は缶のお茶が出されるだけだった。


 小沢一郎代表が2月下旬に訪韓した際、同行議員から「陳情」を受け、「朝食が出ないのか」と驚き、「戦の前の腹ごしらえは必要だ」と早速導入を指示した。


 ただ、今のところ朝食が出されたのは、14部門中3部門。しかも国会内の専門店から届けられるおにぎりだけ。党内からは「自民党並みのメニューに格上げを」との声が上がっている。

民主党:自民党にまだ及ばない…朝ご飯が

国庫負担が増えるわけでは無いだろうが、抜本的な制度改革を訴えるのであれば、先ずは政党交付金等から議論して欲しいものだ。自らの襟元は正さずに他人の粗ばかりつつくような状態では、あまり応援する気が起きない。