「民意」?

<暫定税率復活>国会の内外で怒声やデモ (毎日新聞)」について。

 ガソリン税暫定税率復活が決まった30日、国会議事堂の衆院議長応接室前に怒声が飛び交った。民主党の若手衆参両院議員約100人が「民意を問え」などと書いたプラカードを掲げ押しかけ「地方の声は(ガソリン)値下げだ!」などと気勢を上げた。


 河野洋平議長を缶詰めにして、午後1時開会予定の本会議を開かせない作戦だったが、自民党の若手議員らが議長の通り道を確保しようと割り込み、激しいもみ合いとなった。「痛い」「セクハラだ」と叫び声が上がる中、議長は午後2時前、衛視に抱きかかえられるようにして封鎖を突破、議場に入った。


 この騒ぎで、05年当選の柚木道義衆院議員(民主)のスーツの両脇はすそから脇の下まで破れた。柚木氏は「望ましいこととは思わないが、文字通り体を張らざるを得なかった。月賦で買った一張羅なので、縫い直して使います」と話した。

ちなみに柚木道義議員の日記にはこうある。

保守王国山口の民意は間違いなく全国の有権者、納税者の民意を代弁したものであります。その“民意”を踏みにじる暴挙にNO!という声を届けるべく、本日私は民主党ガソリン値上げ阻止隊の一員として議会運営委員会の理事会に抗議申入れに参りました。


その際に、私の着ていたスーツが与党議員によって引き裂かれました。私は「やめて下さい!これがあなたの“民意”への返事ですか!!」と抗議しましたが、その議員は全く聞く耳を持たれませんでした。もちろんこうした抗議行動の中で多少のぶつかり合いは私も覚悟しています。しかし、その中でも与野党お互いの議員が怪我をしたりしないように、心の中で“配慮”しながら行動していると認識していました。が、その議員にはそうした思いはなかったようで、大変残念です。

この申し入れがどういったものだったかは、氏の活動報告にて記されている。

ガソリン税暫定税率を復活させる税制関連法案の再議決を阻止するため、「ガソリン値上げ阻止隊」の一員として、本会議を開会しないよう午前中から衆議院議長室前にて抗議を行ないました。
河野議長を本会議場へ入場させないよう体を張って阻止しようとしましたが、14時頃、河野議長は別の扉から出て本会議場へ入場。本会議を開会し、「参議院で法案が否決されたとみなす」動議を可決。夕方2度目の本会議で税制改正関連法案が再議決・成立しました。

つまり、本本実力行使をしようとしていた訳で、スーツが破れるのは予定調和だったといえる。しかし日本を代表する国会議員の一人として、衆議院議員議長に対する実力行使を何ら恥じていないと言うことには驚く。実力行使することが正しいなら国会議員には格闘家がなるべきであろうし、国会議員の仕事は肉体を鍛えることになるだろう。
日記を見る限り、パフォーマーとしては良いのかも知れないが、国会議員と言うものがどういう存在であるのかと言うことについては全く気にして無いように思う。
私の以前の日記に自民・民主を混同してしまい、「意図的に民主をけなしているのか」と指摘を受けたことがある。私は別に自民党の肩を持つ気はサラサラ無いが、こういう民主党の行為を見るにつけ、民主党は与党になるべきではないという考えが強くなっていっていることは事実であり、そう言う思いが民主党に対する偏見に繋がっていないとは言い切れない。
できれば民主党野党第一党として、品格を持って国会に臨んで欲しい。


しかし、「一地方の選挙結果が国民全体の意思である」とする氏の理論は分からないのは、私の読解力が足りないからなのだろうか。民主党は民意民意と口にするが、少なくとも私の意志が彼らによって代弁されているとは思えない。


上記に関連し、「<河野衆院議長>3時間議場に…本会議冒頭、民主に苦言 (毎日新聞)」について。

 「民主党議員によると思われる妨害で、議場に入れなかった。かかる行為ははなはだ遺憾だ」。ガソリン税暫定税率を復活させる改正租税特別措置法を再可決した30日の衆院本会議の冒頭、河野洋平議長は「会議を始める前に一言申し上げる」と語り始め、民主党に異例の「苦言」を呈した。


 開会前、民主党の衆参両院議員が議長室前の廊下を占拠した。議長室からわずか数メートル先の議場に入ろうと河野氏は何度もドアを開けたが、民主議員の「壁」に阻まれ続けた。結局、衛視らにガードされつつ議場に入ったのは、開会予定時刻から1時間近く経過した午後2時前だった。


 本会議は約1時間で休憩に入ったが、再び入場を阻止されることを危ぶんだ自民党議員が河野氏に「このまま残ってください」と懇願。結局、河野氏は午後3時40分に再開した2回目の本会議が閉じるまで約3時間、ずっと議場で過ごすことになった。

与党が衆議院に於いて2/3の議席数を超えているのは(その時点での)民意である。自らの数が足りずにそれが阻止できないからと言って、実力行使を用いて採決をさせないようにすると言う行為はテロ行為であり、到底許される行為ではない。「民意」と口にすることが免罪符にでもなるというのだろうか。