分析違い

【第12回】年収アップする生活行動学 2000万稼ぐ人の時間の使い方」について。

 高収入を稼ぐ人々は、日頃どのような生活行動をしているのだろうか。一般的なサラリーマンの行動と比較すると、そこに差はあるのだろうか。そんな疑問から、生活行動に関するアンケート調査を行い、年収別に比較してみた。結果は、あらゆる場面で明確に違いがあった。


(略)

 「キャリアアップ志向」という言葉がよく強調されるが、そのためには、まず自分の日々の生活行動に目を向け、それをいかに生産的な方向に変えていくか考え、実践することが必要だ。その努力の積み重ねが、月日とともに大きな差を生む。

「年収2000万の人の行動様式」と「年収600万の人の行動様式」を比較し、「年収600万の人は年収2000万の行動様式を真似て情報収集に力を注ぐべき」と結論付けているのがこの内容。
もしこの記事の内容を真だとし、「高収入者の行動様式を真似れば年収はアップする」のであれば、年収2000万円前後の人よりもビル・ゲイツの行動様式でも真似た方が良い。


年収2000万の人と年収600万の人との行動様式が違うのは当然であろう。何故なら、企業内での仕事の役割が違うからである。例えば一つのシステムを作る場合、プログラマシステムエンジニア、プロジェクトマネージャー、デバッガー等、それぞれ役割分担を担って仕事をしている。どれが欠けても仕事にはならないのだが、一般的にはデバッガーやプログラマーは「誰でもできて替えが効く」として年収は低いが、システムエンジニアやプロジェクトマネージャーは管理職でもあるということで、年収は高い。デバッガーは年収300万以下(主に派遣でバイトも居る)、プロジェクトマネージャー(正社員)は600万以上であり、その年収差は倍である。
デバッガーの仕事は「指示された方法に従って適切にデバッグをすること」であり、多くの時間をPCの前で費やすことになる。計画通りに仕事が進まないことはざらなので、仕事の時間は不規則であり昼食をとる時間も最低限に限られる場合がある。最悪の場合は睡眠時間も削られることになる。デバッグ以外の知識を手に入れたところで仕事に活用できる事は無く、バグの修正に関する意見書を出したところで「権限を越えている」と相手にされることはほぼ無い。
プロジェクトマネージャーの仕事は「プロジェクトを管理すること」であり、必要とされるスキルが違う。プロジェクトマネージャーは多くの人と会ってより安くて実力の有るメンバー(デバッガー〜システムエンジニア)をかき集め、その結果を評価する為に多くの知識を得る必要がある。その為、人と会う時間を確保することや勉強時間を確保することは仕事の一部と言っても良い。
だから、デバッガーがプロジェクトマネージャーのような生活を心がけたところで意味はあまり無いのだ。


そもそも年収2000万のサラリーマンとはどういう方か。また、どういう業種の方なのかと言うのも疑問である。IT技術者として年収2000万以上稼いでいる人となるとほんの一握りの特別なスキルを持った開発者だけであろうが、投資銀行や運用会社の社員であればそれほど珍しくは無いのかもしれない。
筆者のアンケートでは「どのような業種の方の話か」と言うことについて言及されていないし、業種でのポジションなども考慮していない。一般的に管理職といったポジションが上の人のほうが年収が高いとするならば、そういう人達の生活様式が似通ってくるのは当然であり、そういう方方と同じ事をしないから給料が上がらないと言うのは、あまりにもおかしい分析ではないだろうか。