定額制の罠

ネット渋滞、大量利用者に同意なしで制限…総務省指針案」について。

 インターネットの通信速度が遅くなる「ネット渋滞」を緩和するため、大量のデータをやり取りしている「ヘビー・ユーザー(大量利用者)」の通信量をインターネット接続業者が制限する際のルール指針案が16日、分かった。


 大量利用者によって他の利用者の利用が妨げられる場合は、同意なしに通信を制限できることを明記している。日本インターネットプロバイダー協会や電気通信事業者協会など4団体と総務省が作成。17日に発表し、一般から意見を募った上で4月に決定する。


 指針案は、通信制限について「『通信の秘密』に対する侵害行為であり、一般的には利用者の同意がない限り許されない」と記した。その上で、回線を長時間つなぎ続ける特定のヘビー・ユーザーや、ファイル交換ソフトウィニー」などの利用で「他の利用者の円滑な利用が妨げられる」場合は、同意なしに、一般の利用者と同じレベルまで通信量を制限しても「不当な差別的取り扱いには該当しない」との判断を示した。

「他の利用者の円滑な利用が妨げられる」事を建前として提供しているサービスに一方的な制限をかけられるという事は、認められるべきではないだろう。
もしこのような事がまかり通るのだとしたら、ネットに関わらず「定額制」を提唱するサービス利用者は、利用者の同意無しに各種サービスを規制できることにならないだろうか。
例えばバイキング制の飲食店に於いて、明らかに食べそうな体格をしている方や、特定の食べ物ばかりを独占して食べてしまうことで「他の利用者の円滑な利用が妨げられる」と判断された場合、摂取を制限したり追加料金を徴収したりすることができるようになるとか。
また例えばヒトカラ(=1人でカラオケに行くこと)を楽しもうと定額制の店に入った場合、店が混み始めてきた際に1つの部屋を1人で独占しているのは「他の利用者の円滑な利用が妨げられる」と判断され、追い出される可能性もあると言うことではないだろうか。
定額制の携帯電話通信等はこの余波を真っ先に受けることに成るだろう。


今でも客のように振舞わない客を追い出すと言うような「他の利用者の円滑な利用が妨げられる」と言う名目で各種サービスの提供を行わない接客・飲食業はあるだろう。しかしその場合、サービス料金を取っているとは思えない。その場合、「サービスを提供しない」事を選択しているのであって、決して「サービスの変更」がされている訳ではない。