都合の良い言い分

増益=賃上げ」は当たり前? 春闘妥結もトヨタ、コマツの利益の源泉は・・・」について。

「賃上げ要求よりも株主になれ」という投資家の主張。あながち的はずれとは言えないのではないか。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080318/150433/?P=2

「株主になれ」とは気軽に言えることではない。例えば2008/03/19時点でのトヨタコマツの株価を見てみると、トヨタは5080円、2595円、それぞれ100株単位での購入と言うことなので、最低投資額はそれぞれ約50万円と約26万円となる。1株配当がそれぞれ120円、31円なので、年12000円、3100円の配当を受けることができる。

 「大企業の経常利益は総額32兆8342億円でバブル期の1.75倍。それに連動して、株主配当は4.17倍になっている。その一方、民間労働者の平均賃金は435万円で9年連続の減少。自社と関連会社に働くすべての従業員に月1万円の賃上げを行うのに必要な原資は4兆6308億円。217兆円の内部留保の2.1%を取り崩すだけで実現可能」(一部要約)

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080318/150433/?P=2

この要求を株の配当だけで実現するならば、トヨタなら1000株(=500万円)の投資をする必要があり、コマツなら4000株(=1000万円)の投資をする必要がある。家計貯蓄率が低下しているとされる昨今に於いて、株にこれだけ資金を投入できる労働者がどれだけいると言うのだろうか。この生活苦をどうにかしたいと賃上げを要求しているのに、「賃上げ要求よりも株主になれ」とは、「パンが無ければお菓子を食べれば良いじゃない」以上の暴言であろう。


経営陣や投資家と言った企業側は、常に自らを正しいとする立場で搾取を正当化するため、時代と共にその考え方がコロコロと変わっていく。

 ただ、今は連結で企業を見る時代である。国内の従業員のベースアップを連結業績と絡めて議論する従来の考え方が相応しいのか、考え直す必要があるのではないだろうか。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080318/150433/?P=2

このような発言は、今そのような時代であるとする事が企業にとって都合が良いからでしかない。この考え方が企業にとって都合が悪くなればまた新しい考え方をしだすだけであり、企業側の言い分を黙って聞いているだけでは、労働者には何時まで経っても利益が配分されない。

 「海外が稼ぐ利益は、基本的に海外の人々が生み出した付加価値。それがなぜ、そのまま国内の従業員の賃上げにつながるのでしょうか」。冒頭の社長は疑問を呈する。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20080318/150433/?P=2

海外の利益による収益を日本の経営陣・投資家が享受しているのに、労働者だけに分配をしない道理は無いだろう。


富の再分配を行って市場に金を回さない限り、今後国内の売り上げは下降する一方であろう。それをまた理由にして利益の再分配を渋るような悪循環を続けていて、日本に未来があると言うのだろうか。