可能であることと有効であることの差

日韓トンネル作ればいいじゃない」と言う意見。

番組で少し気になる言葉があった。対馬と韓国が50kmしか離れていないという話だ。そんなに近いの?と思って調べてみたら、確かに50kmくらいしかない。それで思ったんだけど、韓国までトンネル掘って日本とつなげてしまってはどうか。


大陸ってもっと遠いのかと思っていたけど、対馬と50km、対馬壱岐島が50kmで、壱岐と福岡が20kmくらいしか無さそう。青函トンネルが53kmらしいから、十分トンネルが掘れる距離なんだなあと知った。


日本が島国である、ということが日本人の精神面に与える影響は結構大きい気がするけど、一本繋がってしまえば意識の中で島国根性みたいなのが少し変化するような気もする。どうかなあ・・・

この方の引用部分を読むと、「どうかなあ・・・」の部分は「トンネル、掘りませんか?」だった様子。
島国根性」と言うものがはてなダイアリーキーワード通りのものだとしたら、別に島国の住人で無くても閉鎖的性格と言うものは存在すると言える。例えば「ユダヤ人」はそういった性格を持つ者の典型的な例ではなかろうか。宗教的な対立が人殺しや戦争に発展するのが大陸であり、大陸に住んでいるからといって他民族に対する許容度が高いと言うのは幻想でしかない。
島国根性を変化させることにどれだけの意味があるのかは分からないが、今は飛行機がその役割を担っているのではないかと思う。また人口の集中する関東圏に於いて日韓トンネルができることのメリットは殆ど無い。何故なら韓国まで1時間(空港までの移動時間を考えても3時間)もかからないからだ。これは新幹線で大阪に行くよりも近い。ちなみに北京までは3時間程度。
飛行機による環境破壊は結構凄いので低コストの輸送を実現させるためには電車が良いのかもしれないが、トンネルを作って維持する為のコストも馬鹿にならないだろう。それならBEETLEを活用したほうが良いだけのこと。鉄道輸送にすることによって東京までダイレクトに荷物が運べると言うメリットは確かにできるかもしれないが、結局何処かに税関を作って出入国の管理をしなくてはいけないし、それこそ東京まで海運すれば良いだけの事だろう。
海運や空運が発達している世の中でトンネルと言う陸運に拘るのは、些か考えが古いと思うのだが。


と言うような否定的な意見がコメント欄には結構見られ、それに対して「もっと夢を持とうぜ」と言う意見が出る。

要は”韓国と繋がる”というところから想像がその先までいっていないことに、ちょっとオドロイタ。


大陸にトンネルを掘るということは例えばロンドンまで汽車に乗っていくことができる、ということである。その間にさまざまな国を通過する。東京から乗車してずーっと乗っていると、韓国人、中国人、ロシア人、インド人、アラブ人、ウクライナ人、ポーランド人、ドイツ人、フランス人などなどと乗り降りする人が少しづつ変わり、車内販売の食べ物や飲み物が変わり、やがてロンドンに到着するのである。ロンドンで駅を降りて、お、あの日本人まだ乗っていた、とかみつけて思わず目で会釈。などなど。これはひどくおもしろい話だ。夢がある。というようなことを考える人も結構いるだろうな、とかそんなコメントあるだろうな、とか思ったので、半島と接続、ということしか考えが及ばないのを見るにつけてとても意外だった。

シベリア鉄道を使うとシベリアからウラジオストクまで7日らしい。最低でもその2倍程度の移動時間がかかるだろうと推測するが、それだけの時間をかけ、かつ多くの税関をパスしてまでロンドンに行こうとは、テレビの企画か金持ちの道楽以外にありえるとは思えない。
可能であることと有効であることは違う。非効率的なものを国税を使って建設するのは単なる無駄遣いだ。そんなものを建設するためにこれ以上税率を上げられたくは無いし、将来に対して莫大な借金を残すのにも反対だ。


とは言え、トンネルを作ることによる物流の促進を否定しているわけではない、日韓トンネルを作るくらいなら淡路島と大阪とを南端で結ぶ高速道路を作って大阪環状線を作り出すほうがよっぽど効果的であろう。または四国と九州を結ぶ高速道路。東京湾内の開発が限界に来ている今、新たな港湾開発は必須なのだし、地方の活性化という意味でも今まで繋がれて居なかった地方と地方とを結ぶ事で新たな産業を起こせるかもしれない。
しかしこれは輸送時の手間が必要ない国内だからこそ可能なことである。同様のことを日韓トンネルに当てはめることはできない。


それに対馬の韓国領化に加速がかかるのも困る。こちらの敷地を占拠しようとしている隣家との垣根を取り払うべきだ、と考える人は居ないだろう。