暫定的財源委譲

都税3000億円移譲で大筋合意 首相と石原知事」について。

 福田康夫首相は11日午前、東京都の石原慎太郎知事と首相官邸で会談し、平成20年度税制改正の焦点となっている地方自治体間の税収格差是正問題で、都の法人事業税約3000億円を財政力の弱い自治体に回すことで合意した。石原氏は会談後、記者団に「泣く子と地頭と政府には勝てない」と述べ、税収移譲を税制の抜本改革を行うまでの暫定措置とすることを条件に容認する考えを表明した。


 都は今後、減収の見返りに羽田空港国際化の推進や東京外環道の整備、平成28年夏季五輪の招致活動への支援を求める。会談で首相は、こうした条件を議論する政府と都の政策協議機関を設置することを提案し、石原氏が受け入れた。

単に財源を移譲するのではなく、国から諸条件を引き出した事は評価すべき点だろう。外環道の整備は近隣諸県の協力が必要になる部分であり、その整備が行われる事で都内の慢性的な渋滞の緩和に一役買う可能性は高い。
オリンピック誘致に関しては反対だが。

 政府・与党は20年度税制改正で、都市部と地方の税収格差を是正するため、法人事業税の半分程度を国が集めて財政難の自治体に手厚く配分し、都や愛知県、大阪府も含め計4000億円前後を地方に移す案を検討しているが、都が大幅な税収減になるとして強く反発していた。 

こういう制度ではなく、例えば東京都が各道府県の債券を購入すると言う名目で地方への投資を促すべきではないか。県が他県の債券を買うようにすれば各県は様様な地域復興計画を考えるだろう。「金を貰う」のではなく「金を稼ぐ」方向で自治体が努力しない限り、効果のある復興計画も出てこないだろうし、地方の財政難が再生される事も無い。現在のような公共事業による一時的な雇用しか生み出さないのでは、税金が幾らあっても足りない。
それに国が一括して都の財源を地方に移譲するようなスタイルは国の権限を強めるだけであり、それは自民・民主の求める「小さな政府」とは全く逆の政策である。都心部を政治基盤に持つ民主党がこの件について反対するのかもしれないが、地方票をも考えてこの案に反対しないかもしれない。今後の民主の対応は気になるところだ。


さて、平成19年度の都の税収は約5兆(過去最高)で、これは隣接4県の税収合計よりも高い。その面から考えても、富が東京都に一極集中していると言うのは紛れも無い事実だろう。加えて労働力は隣接県から来る者も多く、そう言う方にとっては単に職場が東京都だと言うことに過ぎないのだから、地元に何らかの見返りを欲するのは判る気がする。
であれば法人税などの地方税の有り方を考え直し、「各県は隣接する全ての他県に対し地方税の一部を配分する」と言う法律を作っても良いとは思う。こうする事で各都道府県の連携が進み、共同事業等が円滑に進む部分も出てくるのではないか。例えば県境を挟んで道の状態がガラリと変わる、と言うような事は少なくなるとか。


道州制を導入しようと言うつもりは無いが、人や物や情報の流れが速くなった現在に於いては、県という括りで物を考えるのは些か狭すぎる。