幾ら「自由」と言っても…

<ヒマワリ>80万本が3日間で丸裸 持ち帰り自由で…高知 」について。

 高知県土佐市で地元農家が育てた約80万本のヒマワリが、わずか3日間で丸裸になった。10月28日開催の「出間(いずま)沖の花・花フェスタ」の目玉で、過去2年は霜が降りる11月中旬ごろまで楽しめた。今年はフェスタ後にテレビや地元紙などで大きく取り上げられ、渋滞が発生する盛況。花は自由に持ち帰って良かったが、「これほど早くなくなるとは」と農家も困惑している。


 ヒマワリの種は稲刈り後の田約3ヘクタールにまかれ、季節外れの満開ぶりが知る人ぞ知る人気。例年同様「持ち帰り自由」としていたが、今年は大量に取る人が続出し、みるみる減少した。軽トラックの荷台に満載していく者も現れ、今月1日には取り尽くされてしまったという。今はフェスタの際に撮影した写真と「ご期待に添えない状況を申し訳なく思っております」というわび状が寂しくたたずんでいる。

「自由」とは聞こえが良いが、自制の効かない自由は「無秩序」でしかない。
「自分だけ景観を楽しめれば良い」と、後の方のことを考えずに花を手折る方が多かったとは思えない。大多数の方は「この景観を他の方にも知って欲しい」と思っていただろうし、その為に手をつけずに帰った方も居られただろう。

 テレビの影響か、過去には見られなかった名古屋や京阪神ナンバーの車も来場。同フェスタ委員会の川沢敏興会長は「80万本あれば大丈夫だと思ったが、甘かった。来年は面積と本数を倍に増やし、持ち帰り禁止の区画を設けたり、1人10本までに制限するなど配慮したい」と話している。

と言う部分を見る限り、一部の心無い方が問題だったのではないか。


多くの方の厚意が一部の方のおかげで台無しになってしまうことは多多有る。良識に期待して規制を設けずとも上手くやれたと言うのは、別に日本人が単一民族だったからという事だけではなく、単に知る人ぞ知るような参加人数が少ないイベントが多かったからであろう。大大的に報道されて参加人数が多くなれば、にわか参加者による従来の常識を無視した行為が起こってしまい、イベント自体の魅力が損なわれることとなる。


似たような話で、以前、テレビに出演したばかりに閉店に追い込まれた飲食店の話を聞いた事が有る。
その店は知る人ぞ知るという静かな飲食店で、贔屓にしてくれる常連さんも多く、それなりに繁盛していたようだ。その店がテレビの目に留まり、隠れた名店として紹介された。
テレビを見て訪れた一見さんらが急増した。売上は以前よりも伸びたが、客層によって店の雰囲気ががらりと変わってしまった。その雰囲気に馴染めなかった常連さんらは店から遠のき、結果、店の客は一見さんばかりになった。そして一見さんらはテレビによって紹介される新しい店を求めていくだけで新たな常連となることは無く、日が経つにつれ客はどんどん居なくなっていった。
結果、その店は潰れることになった。
つまり、テレビに出て露出は多くなる事が必ずしも幸福な結果をもたらさないということ。


町興しの為とテレビの力を借りるのは良いが、その結果が意図したものであるよう上手くコントロールする必要がある。
ブームに乗っかる方方の中にはブームの為に軽軽しく生き物を殺せるような方方も居るのだ。参加者の常識や良識に頼りすぎていては思わぬしっぺ返しを食らう事になる。