それは詭弁だ

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071105/139593/」について。
あまりにも呆然としてしまう内容だったので、多少語気が荒くなってしまっているのはご容赦願いたい。

 事実は、日本の高速道路ユーザーは、高速道路を走る時にもガソリン税をはじめとした税金という「対価」を既に払っています。それは、自動車ユーザー全体の税金の2割もの2兆円近い額です。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071105/139593/?P=1

高速道路ユーザーが高速道路料金以外に払っている対価があるからと言って、高速道路を無料で使えると主張するのは詭弁としかいえない。何故なら、高速道路ユーザーは高速道路のみを使うわけでは無いからだ。
またこの主張が正しいとするならば、「全ての国民は既に税金と言う対価を払っているのだから、国民は全ての公共サービスを無料で受けられる権利が有る」という暴論もまかり通ってしまう。そんな馬鹿なことはない。利用者負担の原則を忘れてはいないか。

 だから、猪瀬氏が、一般道路のユーザーの税金で、高速道路無料化を実現するのはけしからん、というのもウソです。事実は逆です。


 すべての自動車ユーザーの税金は、一般道路の建設に充てられているのです。つまり、高速道路ユーザーの税金が、一般道路の建設に流用されているのです。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071105/139593/?P=1>

道路行政と言うものは、高速道路だけでも一般道路だけでも語られるものではない。だというのに、

それに、全国の高速道路が無料になれば、新しい道路を作る必要も減るでしょう。

と論を展開するのは、道路を知らないのかと疑問を抱かざるを得ない。高速道路の利用を促して自動車を活用しようとすればするほど、多くの道の整備が必要になるのは自明の理ではないか。
確かに各都市間を結ぶ大きな国道の新設は必要なくなるかもしれない。しかし、高速道路を使って市街地に乗り入れてきた多くの車を捌けるだけの道を新設しなければ渋滞が発生するだけだ。それは流通にとってプラスにはならない。ならばと渋滞を緩和するために道幅を広げたりバイパスを作ろうとすれば用地買収が必須であろうし、市街地であれば有るほどその価格は高いだろう。それでも新しい道を作る財源が必要ないとでも言うのだろうか?
また、交通量が増えれば増えるほど道路は傷み、保守費用が高くなる恐れが有るだろうし、同様に交通量が増えれば事故も増えるのだから、金額に表せない社会が抱えるリスクが大きくなるだけである。


それらのリスクを考えた上で、それでも高速道路の無料化の財源があり、かつ経済の活性化のために有効な政策だと言うのだろうか?


何故この方が「高速道路会社の借金を税金で返せば高速道路は無料にできる」等と言う主張をさも当然のように語るのか解せない。それは単なる税金の無駄遣いではないか。そう言う解決策しか提示されないのは非常に残念である。
高速道路会社の財源が高速道路利用料金のみに依存している事が、高速道路の無料化ができない最大の要因で有る。ならば高速道路を無料化するには、高速道路株式会社各社に土地の開発権を与え、企業努力によって返済させるようにすれば良いのではないか。
例えば木更津や館山あたりの土地を買い与え、自由に開発をさせるのだ。そうすれば人を呼ぶ為にアクアラインを無料化するかもしれないし、館山道を早急に完成させるかもしれず、地方の活性化に一役買う事になるのではないか。


つまり私が言いたいのは、高速道路会社に対して国が強権を発動させて無理に無料化させるのではなく、自発的に無料化させたくなるよう仕向けるのが重要だということ。その為の法整備を進めるのは今後の課題であろう。
とは言え、私は地方活性化のためには陸海(川)空を網羅した上での交通行政を考えるべきだと思っているので、道路行政のみに注力するのはナンセンスだと思っている。


と批判してきたが、賛成部分を一つ。

 また、猪瀬氏は、新幹線など、早いものはコストがかかる。だから、早く目的地に行ける高速道路の料金が高いのは当たり前、とも言います。これもおかしな理屈です。

http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071105/139593/?P=1

おかしな理屈だという事に異論は無い。例えば、東京-札幌で空路を使うのと陸路を使うのでは、空路の方が早いが運賃は安い。こんな事を理由に高速道路の無料化を語らない方だったとするなら、東京の将来も暗いかもしれない*1

*1:猪瀬氏は現時点で東京副知事