台湾問題は沈黙して良い問題ではない

【やばいぞ日本】第3部 心棒を欠いている(2)」を読む。

 「われわれは台湾独立を阻止するためなら武力行使も辞さない。その際、日本は絶対に関与すべきではない。関与すれば南西諸島を攻撃せざるをえなくなる」。昨年11月、東京で開いた民間団体主催の日中軍事フォーラム(非公開)で、人民解放軍のある将官はこう警告したという。「用意したペーパーにもとづく発言だった」(参加者筋)から、その場限りの脅しではない。南西諸島は九州南端から台湾近くまで続く島々だ。

つまり、台湾に関与すれば沖縄を攻めるぞ、という事だ。
そりゃそうなるだろう。何故なら、台湾と西南諸島はかなり近いからだ。与那国島から100kmも離れてない。
記事も有るが、台湾が戦火に包まれれば沖縄も戦火に包まれる事が必至であろうし、台湾が中国領になった際には宮古島以西の島島が実効支配される可能性は高い。そもそも中国にとって沖縄はもともと中国領だったとされている点も忘れてはいけない*1


また、中国が米国に太平洋の東西分割を提案したことも記憶に新しい。

 17日付の米紙ワシントン・タイムズは、キーティング米太平洋軍司令官が最近訪中して中国軍事当局者と会談した際、中国側が、太平洋を東西に分割し東側を米国、西側を中国が管理することを提案したと報じた。米側は拒否したという。提案の詳細には触れていない。

中国には現在太平洋に出る道が無いのでアメリカもこの様な態度に出る事ができるが、台湾が中国領になる事で大西洋の軍事バランスは大きく崩れ、上記のような提案をアメリカが一蹴する事が難しくなる。極端に言えば、中国にとっての台湾の価値は、全土を焦土化させてでも手に入れたいくらいに重要なのだ。


つまり、台湾問題は日本を含んだ問題でも有りつつ、東南アジア諸国をも含んだ非常に大きな問題なのである。
そのような問題について

 ところがこれほど重大な問題を前にしながら、日本国内は奇妙な沈黙に包まれている。「台湾問題は中国の内政問題であり、外国の介入は許さない」という中国の強硬な姿勢に圧倒されてか、政官各界は思考停止状態に陥っている。

http://www.sankei.co.jp/kokusai/china/070928/chn070928000.htm

となっているのは、先進国の役割を果たしている国とは言えない。
個人的には憲法9条の改正の改正等を行い「日本はアジア平和維持の為には戦争を辞さない」と言う態度を取る事が、中国に対しての心理的圧力になり、結果として周辺諸国(台湾など)の平和を保てると思っている。そもそも1950年代とは兵器事情が違うのだから、現状に即して憲法を変える必要性が何故分からないのか?大陸間弾道弾等の戦略兵器が存在する現代に於いて、自国領内のみでの専守防衛などが実現するはずが無い。
憲法9条を廃する事が即侵略戦争に繋がるわけではない。とりあえず文民統制ができている現状においては、(理論的には)民意によって戦争を抑える事ができるのだし。


それを踏まえたうえで、福田氏の失言とされる内容を改めて読み直す。

この日は年金制度の抜本改革をめぐり「年金システムが崩壊したらどうなるか、若い人が一番心配することだ。戦争でもするなら話は簡単だ。ゼロからスタートするということだ」と「ハト派」に似合わぬ脱線発言。

中国と戦争し、日本社会システムをボロボロにすることで年金その他の国内問題をリセットし、混乱に乗じて各国との領土問題を一方的な譲歩のみで解決させたいのか?と深読みしたくなるのは私だけだろうか?
どうも福田氏の発言は外山恒一氏の発言をオブラートに包んでいるだけのように思えてしまう。

*1:悪の論理(著:倉前盛通)」より