年金は高い利回りを目指して運用すべきものなのか


なぜ年金はこれほどの危機を迎えたのか」について。


先ず、年金制度の目的は何か。それは国民生活の長期的な安定を図るものである、と言うことである。その為、幾ら高利だからといって外国の株や債権などに投資すると言うのは、年金制度自体の存在に関わる問題と言える。
国内に投資するのと国外に投資するのとでは、全く意味が違う。国内企業に投資した場合、その企業の従業員にある程度の金が回ってくることになり景気にもプラスに働くだろう。新しい雇用が創出され失業率が低下し、20〜30台の方による人生を悲観した無差別殺人と言うものが起き難くなるかもしれない。
しかし外国企業に投資した場合はそう言ったことが期待できない。結果、国外で運用するほうが利回りが良く、最終的に受け取る年金受給額が増えたとしても、社会不安が増して生活し辛くなってしまっては国民の生活の安定を図っているとは言えないのではないか。


また「今の利率で年金制度が維持できないのが問題」だとするならば、年金の利率を下げる事も視野に入れるべきであろう。
好景気の頃であれば高利が期待できたのかもしれないが、現在はそのような状況には無い。例えば1980年代には年利5%以上の金利で貯金ができた銀行もあったが、今ではそのような金利を期待するの事はできない事を考えれば、金儲けのプロである銀行でさえ安定的な資金運用をすることが難しくなっていると言えるのではないか。そのような時代の中で、現在の年金の利回りを基準にして損失が出ないような年金運用をするなどと言う事は夢物語のようにさえ思う。


「運用のプロがいれば長期的に黒字になる」という命題が真だとするならば、銀行は不良債権を抱える事は無かったであろうし、ファンドで運用する際の運用リスクの説明などは不要な筈である。しかし現実には銀行は倒産寸前まで追い込まれたし、ファンドで損をする方方も多いのだから、先に挙げた命題は偽であると言わざるを得ない。
年金と言うものがその性質上、できるだけローリスクで運用すべきものであるとするならば、運用が低利であるもの仕方が無いだろう。そう言う意味で国債は年金の運用先として非常に有用である。少なくとも年金制度が維持できている間は国が存在し続けているのだから。



等と考えていくと、年金制度と言うものが必要なのかどうかと言う点が非常に気になってくる。特に生活保護と絡めて考えると一層その思いが強くなる。年金を払わずに過ごし最終的に年金がもらえなかったとしても生活保護を受給する事で年金以上の収入を手に入れることができてしまうのだから、真面目に払っているほうが馬鹿を見るようにさえ思うからだ。
であれば、年金制度を止めてその分法人税等を増税し、各社会保障に充てるのがシンプルで良いように思う。そうすることで公務員の数も削減できるし、厚生年金制度がなくなることで正社員雇用が進まなくなるという側面も解消されるかもしれない。


何となく氏の発言は「年金はローリスクハイリターンで運用できる」等と言う胡散臭いものに感じてしまったため、あまり代案らしい代案を提示することなく批判をしてしまった。
国の役割は「年金を運用して外貨を稼ぐ」事ではない。それは企業の役割であり、国は国民生活に配慮をした上で企業が仕事をし易い環境を整えるのが役割ではないか。