75歳以上の給与所得を非課税化、と言う提言について

 日本経団連は、消費税率の引き上げに合わせて所得税の減免措置も講じる税制改革案を提示する。子育て世代への税負担軽減に加え、75歳以上の高齢者の給与所得などを非課税とすることを検討し、7月にも提言をまとめる。75歳以上を対象にスタートした後期高齢者医療制度に対して「姥(うば)捨て山」との批判が高まる中での提案は、与野党の税制論議にも大きな影響を与えそうだ。


 75歳以上の高齢者が、給与や事業から得た所得を非課税にするよう要望する。一律的な優遇措置の導入には「富裕層を過度に優遇する」との批判が予想されるため、株式の売買や配当など投資収益については、税制優遇の提言は行わないとみられる。


 5月28日の定時総会で2期目を迎えた経団連御手洗冨士夫会長は「消費税の引き上げを財源に安定した社会保障制度の確立」を最優先課題に掲げている。ただ、消費税引き上げには国民の反発もあり、御手洗会長は「経済へのインパクトを最小限に抑えるため、減税も同時に検討すべきだ」との考えを示していた。

日本経団連:75歳以上の給与「非課税に」…提言検討

75歳以上の方の収入がどれだけあるのか疑問である。厚生労働省統計表 第26表 年金受給の有無、性、年齢、仕事からの収入額階級別高年齢者割合及び平均収入によると、64〜69歳までの平均収入は23万程度、年収で300万未満である。とすると所得税率は10%、住民税とあわせて20%となることから、年間60万程度の減税と考えることができる。
しかしここで問題なのは、この値は平均であると言うこと。平均とされている23万以下の比率は7割であり、特に14万以下(年収190万以下)の人が5割程度も居る。この方方にとっては所得税率は5%であり、住民税とあわせて15%、年25万程度の減税にしかならない。全ての収入を消費しているとすれば、消費税が18%になる事のほうが生活苦に繋がるだろう。
一方月収50万以上(年収600万以上)の方が全体の1割を占めており、そういった統計の中で平均年収が23万に落ち着いていると言うことは、ごく一部の100万以上の給与所得者の方方が途方も無く高額の所得を得ていると言うことであり、そう言った方方の減税額は計算しきれない。これを「富裕層を過度に優遇する」と言うことでなくて何と言うのだろうか。


「低所得高齢者の生活を守る」と言うことを目的とするなら、住民税を平成18年度時点での累進課税方式に戻すだけでも十分効果があると思うし、「年収300万以下の75歳以上の方は非課税」でも良いだろう。
一律非課税としては「税収が減ったから増税を」と言う議論に弾みをつけかねない。