どちらも事実だが…

以下、同じ事件に関する2社の記事。
先ずは神戸新聞

 十五日午前四時五分ごろ、神戸市兵庫区西出町二の国道2号交差点で、少年が二人乗りしたミニバイクと、同市北区の会社員(44)の乗用車が衝突した。


 ミニバイクの少年のうち、同市須磨区在住の中学一年生(13)が全身を強打し病院に運ばれたが、約一時間十分後に死亡。同市中央区在住の中学一年生(13)も顔の骨を折る大けがをした。


 兵庫署の調べでは、現場の交差点には信号が設けられており、ミニバイクは直進。乗用車は右折中だった。少年らはヘルメットをかぶっていなかったという。

続いて日経ネット関西版

 15日午前4時5分ごろ、神戸市兵庫区西出町2の国道2号交差点で、中学1年の少年2人が乗っていたミニバイクと、同市北区の男性会社員(44)運転のワンボックスカーが衝突。少年2人はバイクから投げ出され、同市須磨区の少年(13)が死亡、同乗していた同市中央区の少年(13)も顔の骨を折るなど重傷を負った。会社員にけがはなかった。


 兵庫署の調べによると、交差点を右折しようとしたワンボックスカーと、右手から直進してきたミニバイクが衝突した。会社員は「青信号で右折しようとしたら、右側からミニバイクが飛び出してきた」と話しているといい、同署が事故原因を調べている。


 少年2人はミニバイクに無免許で2人乗りしており、同署は重傷を負った少年の回復を待って、詳しく事情を聴く考え。

神戸新聞の記事を読む限りは「交差点における直進優先の原則」を破って右折した乗用車との衝突のように勘違いしていたが、日系ネット関西版の記事を読んでそうではないと言うことに気づいた。
何故なら現場周辺だと思われる場所を見ると、信号がある国道2号との交差点と言うことなのでかなり大きく、信号無視して右折することは困難。加えて「右折しようとしたら車の正面にぶつかった」と言うことであれば、車線無視でもしない限りはぶつかることは無く、であれば右折車両が車線無視をするはずが無い(曲がれない為)。
とすれば、事故の原因はバイクの運転手が「無免許」「二人乗り」「ノーヘル」「信号無視」「車線無視」をした所為であり、ワンボックスの運転手に非があるとは思えない。


どちらの記事も事実を羅列しているに過ぎないが、幾つか情報が足りないだけで、事件から受ける印象は全く異なってしまう。足りていない情報が取材不足であれば仕方が無いが、これが意図的に隠されたものであった場合はとても厄介だ。新聞は事実を読み取りやすく書くべきであろうが、これではまるで読者のミスリードを誘う部類の推理小説と同類だ。
誤解する読者が悪いのか、誤解させるような記事が悪いのかは判断の分かれるところだろうが、少なくとも私は10人中8人が誤解しないような記事が書いてあることを新聞に望んでいる。