外国人の指紋採取

社説 改正入管法施行 新たな外国人差別にならないか」において、

 テロリストの入国は阻止しなければならないが、関係者の間では新制度の実効性を疑問視する声もある。米自由人権協会は「テロとの戦い」で成果は上がっていないと手厳しい。間違った情報が蓄積されて入国拒否される人が相次ぎ、プライバシー漏えいの危険も指摘されているという。同じシステムのこれからが気がかりだ。
 日本在住の外国人からは「新たな差別だ」と反発の声が上がっている。犯罪にかかわっていないのに指紋採取などを強制されるのはやり切れないに違いない。「人権を侵害する」との声も聞こえる。外国人登録法の指紋押なつが在日韓国・朝鮮人らの長年の反対運動で廃止されただけに当然である。
 新制度は外国人をテロリストの疑いがあるとみるようなものだ。しかも指紋情報などは出国後も保存する。その期間を法務省は「当分の間」として明確にしていない。真の目的は外国人を管理し、犯罪捜査に活用するシステムをつくること、と思えてならない。
 日本人についても事前に指紋を登録し、出入国審査を短縮できるシステムが成田空港で始動する。これらの情報は将来的に外国政府と共有される恐れもある。テロ防止を名目にした監視社会は願い下げにしたい。
 多数の市民団体がきのう「個人情報を収集し、集中管理することはプライバシーを危険にさらす」などとする共同声明を発表した。政府は批判を重く受け止める必要がある。
 観光立国を掲げる政府は二〇一〇年までに外国人観光客を一千万人にするという。空や海の玄関で多くの外国人が不快感を訴えはしないか、心配になる。

と外国人らの声や効果の程を心配しているが、「外国人の指紋採取開始 福岡でも審査 「安全のため仕方ない」 外国人旅行客「不快だ」と憤りも」によれば

 中には両手の人さし指にスキャナーがうまく反応せず、ウエットティッシュで湿らせて指紋を採取し直す人もおり、入国審査官は「いつもより時間がかかった」と苦笑い。タイのバンコクから観光で来日したという会社社長リット・ティラコメンさん(56)=男性=は「スムーズではなかったけど、どの国でも安全が求められる時代だから」と理解を示していた。

と理解を示す方も居るようだし、
新入国審査 5人が強制退去者 過去の指紋データと一致 退去手続きへ」によれば

 五人が過去の強制退去者の指紋データと一致。うち三人は偽変造したパスポートを使って入国しようとしたとみられる。一人には既に退去命令が出され、もう一人にも退去命令の手続き中。


 法務省によると午後五時現在、指紋の摩耗などで指紋採取できなかったのは成田、中部国際、とかち帯広、福岡の各空港と博多港で計二十一人。博多港では貨客船で韓国から入港した韓国人三十人の指紋が当初装置で読み取れず、うち四人はやり直しても記録できなかったため、従来のパスポート審査での入国を認めた。「指紋の摩耗が原因」という。関西空港では、バンコクからシンガポール航空で到着した外国人の入国審査の際に、指紋の読み取り装置が作動しなかった。富山県の伏木富山港では五台の装置のうち三台で使用開始直後に不具合が発生した。

と、先ず先ずの成果も出せているようだ。
しかし特定の指の指紋が磨耗が酷くて読み取れないという事であれば、アメリカのように10本全ての指紋採取をするのも視野に入れるべきではないかと思うのだが。