トラックと刃物と愛国心

二つの事件。

 夫の胸や腹を包丁で刺したとして、群馬県警大胡署は8日、前橋市堀越町、パート従業員町田佳江容疑者(34)を殺人未遂の疑いで緊急逮捕した。夫は間もなく病院で死亡したため、同署は殺人容疑に切り替えて捜査している。


 調べでは、町田容疑者は8日午前2時50分ごろ、自宅近くの路上で会社員の夫秀樹さん(36)の胸など数カ所を、持っていた文化包丁(刃渡り約18センチ)で刺した疑い。


 大胡署によると、町田容疑者が運転するワゴン車が同日午前0時ごろ、自宅近くの未舗装路でぬかるみにはまって動けなくなり、車を動かすために秀樹さんが急きょ会社から借りてきたトラックも、ぬかるみで横転したことで口論になった

車がぬかるみに、口論になり夫を刺殺容疑 前橋

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で、警視庁万世橋署捜査本部の司法解剖の結果、死亡した7人の死因は3人がトラックではねられた全身打撲、4人がダガーナイフで刺された失血死だったことが分かった。


 調べでは、トラックではねられたのは、川口隆裕さん(19)▽藤野和倫さん(19)▽中村勝彦さん(74)の3人。ナイフで刺されたのは、松井満さん(33)▽小岩和弘さん(47)▽武藤舞さん(21)▽宮本直樹さん(31)の4人。4人は失血死で、刺し傷はいずれも1カ所だった。殺傷能力の高いナイフで一突きされており、捜査本部は加藤智大容疑者(25)が強い殺意を持って次々と通行人を襲ったとみている。

【秋葉原通り魔事件】4人は刺殺 3人ははねられる

このうち、下記の事件を受けて町村官房長官が発言。

 町村信孝官房長官は9日午前の記者会見で、東京・秋葉原の無差別殺傷事件の犯行に殺傷力が高いナイフが使われたことを受け、銃刀法の規制強化の在り方を検討する必要があるとの認識を示した。福田康夫首相は官邸で泉信也国家公安委員長と会い「社会的背景を含めて、しっかり調べ、対応してほしい」と指示した。


 会見で町村氏は、容疑者が刃渡り13センチのナイフで犯行に及んだことを踏まえ「銃刀法では刃渡り6センチを超えるものは正当な理由なしに携帯してはいけない。(容疑者は)正当な理由なく持っていた。規制強化(の在り方)について考えなければいけない」と強調した。

政府、ナイフ規制検討 首相「社会背景も調査を」

刃渡り6センチを超えると言う意味では包丁も当てはまるのだが、包丁の規制に踏み出すわけではない。柳刃包丁(刺身包丁)等の方が殺傷能力は高そうだと思うが、先日私が母の日の贈答用に購入した際に刃物店の店主に咎められたりした覚えは無いし、多くのショッピングセンターには釣るしで売られているのが現状である。またホームセンターには鎌や鉈、バールや金属バット、チェーンソーを初めとする各種電動工具など、殺人用途に使える道具がずらりと並んでいる。
なのでダガーナイフを「殺傷能力が高い」と言う理由だけで規制しても意味が無いのである。

 東京・秋葉原の無差別殺傷事件で凶器に使われた「ダガーナイフ」。両刃で殺傷能力が高いが、ほかのナイフと同様「販売規制はないに等しい」(刃物販売業者)。ナイフなどの販売業者によると、正当な理由なくダガーナイフなどの刃物を携帯することは銃刀法で禁じられているが、購入に関する取り決めは、業者の自主判断に委ねられている。


 平成10年、栃木県で中学教諭が生徒にバタフライナイフで刺殺された事件を受け自主規制の動きが強まったが、刃物店の同業組合に加入しないマニア向け護身具ショップには適用されない。ダガーナイフは、有名なゲームソフト「ドラゴンクエスト」などにも“アイテム”として登場、ゲーム好きの面を見せる加藤智大容疑者(25)をひきつけた可能性もある。

【秋葉原通り魔事件】凶器のダガーナイフ 高い殺傷力

有名なファイナルファンタジーには「ほうちょう」と言うアイテムが存在し、FF4等では投げると最も攻撃力の高い武器とされているのだから、ゲーム好きの面を見せる容疑者を惹き付けるとしたら、包丁の方がよほど危ないものであろう。そもそも群馬の事件に於いては、「真夜中の車内で、主婦が包丁で夫を刺す」と言う、殺意が無ければ起きえない事件であるにも関わらず、包丁に対する規制の声が上がるわけではない。
包丁については今年頭にも忌まわしい事件がおきている。

 5日午後3時25分ごろ、東京都品川区平塚の戸越銀座商店街で「男が包丁を振り回し、けが人がいる」と110番があった。通行中の30歳と42歳の女性会社員が胸や背中を刺されて病院に運ばれたが、いずれも軽傷。ほかに、女子高校生(18)▽派遣社員の女性(28)▽男性(61)−の3人も衣服を切られたが、けがはなかった。


 駆けつけた警視庁荏原署員が、商店街にいた品川区の高校2年の少年(16)を殺人未遂の現行犯で逮捕した。


 調べでは、少年は両手に包丁を持ち、東急池上線戸越銀座駅近くから商店街の中を約200メートル走りながら、次々と5人に切りつけた。「殺してやる」と叫んでいたとの目撃情報もある。


 調べに対し、少年は「誰でもいいから、皆殺しにしたかった」と供述しており、同署で詳しい動機を調べる。


 黒のジャンパーとジャージー姿で、逮捕時には両手に包丁を1本ずつ持ち、ブーツの中にも包丁1本を隠し持っていた。少年は精神的に不安定で通院歴があり、同署は責任能力も調べる。


 逮捕現場を目撃した自営業の男性は「(少年は)両手に血の付いた包丁を持っていた。前髪が鼻にかかるほど長く、気味が悪かった」と話していた。

戸越銀座で通り魔 5人切りつける 16歳逮捕「皆殺しにしたかった」

誤解しないで欲しいのだが、別に包丁を規制しろといっている訳ではない。銃刀法による規制を強化したところで意味は無い、と言っているに過ぎない。道具の多くは使い方如何で人を傷つける事ができてしまい、「それを用いた犯罪が起きた」と言うことを理由に片っ端から規制していっても一向に終わりが無いからである。もちろん殺傷する事が目的の飛び道具(銃器やクロスボウ)については、その用途対象が人間ではないという事であっても、所持に関して十分な警戒を取る必要があるとは思うが。


銃刀法による刃物の規制は、結局「何故犯罪が起きたのか」と言う問題に対してのスケープゴートに過ぎず、第二第三の犯罪を抑止する事には繋がらない。事件がおきるのはその刃物を用いた人間に問題があるのであり、刃物が自由意志を持って人を切りつけるわけではないのだから。
問題とすべきは下記のような加害者のおかれた社会環境であろう。

東京・秋葉原で8日、通行人らがナイフで刺されるなどして7人が死亡、10人が重軽傷を負った無差別殺傷事件で、警視庁に殺人未遂容疑で逮捕された派遣社員加藤 智大 ( ともひろ ) 容疑者(25)(静岡県裾野市)が、「会社(派遣先)に居場所がなくなった」と供述していることがわかった。


 加藤容疑者は事件の3日前、派遣先で作業服がなくなったと思い込み、職場を飛び出す騒ぎを起こしたほか、「2〜3日前に犯行を決意した」と話していることから、同庁では、このトラブルが無差別殺人の引き金になった疑いがあるとみている。


(略)


 派遣先の「関東自動車工業東富士工場」(裾野市)の同僚男性(34)によると、5日午前6時過ぎ、出勤した加藤容疑者は自分の作業服が見当たらないことに怒り、別人の作業服をめちゃくちゃにした後、無断で帰ったという。加藤容疑者は以前から、派遣契約を打ち切られるのではないかという不安を同僚に漏らしており、同僚は「クビになったと勘違いしたのではないか」と話している。

「会社に居場所なくなった」加藤容疑者が供述

派遣社員と言う不安定な状態で働いていれば、今後の生活が不安になるのも仕方が無い。「集団の中における自分の役割が理解できない」と言うのは年代的な特徴でもあるようで、今後問題点が解決されなければ類似の犯罪が起きる可能性は決して低くは無い。

 東京都生活文化局が1997年に中学生を対象に実施した青少年健全育成基本調査には興味深い結果が出ています。「1日のうちで一番好きな時間は?」という質問に対し、「家の自室などで1人で過ごす時(46.6%)」が最多の回答でした。残念ながら、その後調査は行われていませんが、この傾向は強くなっていったと予想できます。


 一人部屋は当たり前。自分専用のテレビやゲームを持っているため、仲間と過ごさなくても1人で十分に楽しめます。屋外に遊べる環境が減ったこともあり、集団で遊ぶ経験は少なく、1人で過ごす生活に慣れています。


 「最近では、クラス全体が団結しているというケースはまれです。2〜3人の小集団が点在して、1日のうちで、話をする人が2人か3人ということも少なくありません」と、教育委員会の方は小集団化する生徒の変化を懸念していました。


 同じクラスでありながら半年たっても口をきいたことがないクラスメイトが何人もいるというケースも珍しくないそうです。この傾向はゆとり世代を中心に年々強まっていると聞きます。


(略)


 苦手な相手とのコミュニケーションを避けて、恋人だけに会うことはできなかった時代。「今、電話を掛けたらお父さんが出るかも」「突然、遊びに行ったら相手の家族に迷惑かな」など、相手の状況や自分の行動が引き起こす影響を嫌でも考えてきました。


 でも、これは私たち世代のお話です。今の若者たちは携帯やメールで特定の相手にだけ自分の意思を伝えるコミュニケーションが主流となっているので、自分の考えや行動がどれぐらい周りに影響を及ぼすのかを想像する力が不足しています。結果的に、集団の中での自分の役割を意識する機会も減っていくことになりました。

ゆとり世代との付き合い方【9】「オレ、大丈夫ッス」


こういった事件を起こさないために今必要なのは、愛国心の教育であると思う。
自分の父が大病を患って明日をも知れぬ命だったとき、丁度湾岸戦争が始まりました。母は友人から
「貴方の旦那さんを生かす為に多くの人が頑張ってると言うのに、中東では多くの人達が死んで行くのよね。これに大きな矛盾を感じない?」
と言われた事を未だに覚えているようだが、私はその話を聞いたときに
「決して矛盾ではない。それは父さんがそれまでに築いてきた財力や人間関係のおかげであって、父さんの努力の賜物じゃないか。そしてそれはお爺ちゃんや曾爺ちゃん、それにもっと上のご先祖様達が子孫繁栄を願ってこの国を作り続けてきたおかげでしょう。それがこの国にはあって、あの国には無かった、それだけの違いじゃないのかな。一人一人の命の重さは同じかもしれないけれど、父さんの命はご先祖様達の努力の分だけ重くなっているんだと思う。それは僕や母さんも同じだと思うし、だからこそ私は父さんや母さんに感謝している。できるなら自分の子供達にも受け継いで行きたいと思ってるけど…まあ結婚はできそうに無いけどね。」
と答えた。
これは家族愛であると同時に、愛国心でもあると信じている。家族愛の対象が親兄弟や子供だけでなく祖父母や曽祖父母まで含まれてくると、それは一門愛と言えるのかもしれないし、もっと大きな集団としての国への愛、つまり愛国心になるのではないかと言うことだ。日本人の多くは先祖を敬う気持ちがあると言うが、それが愛国心に繋がっていないのは自虐史観での歴史教育の賜物であろうか。

読売新聞社が17、18日に実施した年間連続調査「日本人」で、何かの宗教を信じている人は26%にとどまり、信じていない人が72%に上ることがわかった。


 ただ、宗派などを特定しない幅広い意識としての宗教心について聞いたところ、「日本人は宗教心が薄い」と思う人が45%、薄いとは思わない人が49%と見方が大きく割れた。また、先祖を敬う気持ちを持っている人は94%に達し、「自然の中に人間の力を超えた何かを感じることがある」という人も56%と多数を占めた。

宗教「信じない」7割、「魂は生まれ変わる」3割…読売調査

先祖を大切に思う事と、その先祖が培ってきた国を大切に思う事はイコールで繋がれるものであろう。我我の多くは「国」と言うと「政治制度」と思っている為に「愛国心」と言う言葉に拒否反応があるのかもしれないが、我我が大切にする「国」とは政治制度のことではなく、地理的・民族的・文化的な区切りの事である。国を愛するが故に反政府的な発言をするのは間違いではく、愛国心教育が現政府賛美に繋がるとは思えない。むしろ文化伝統を大切にする事で政治に対する関心が高まり、反政府の気運が高まりそうなものだが。


「自分が社会にとってどういう存在か」と言うことを理解するためにも、愛国心の教育は必要であろう。そして愛国心を実感できるように核家族ではなく大家族化を実現すべきであり、その為に相続税の控除額の変更を行うべきである。控除額を5000万円から6億(土地・建物は5億、現金・有価証券は1億まで)にするだけで、大きな税収減を伴わずとも大家族化が実現できると思う。