家族解体はメリットなのか?

話題の内容が変わるので別項。
同じく「女の敵は女」というエッセイ内での発言について、気になった事。

 「男女平等は家族を解体する」とは保守派の男女平等批判としてあるが、「家族こそ差別の元凶」と実感するとその批判は正しく聞こえる。家族が解体し核家族化もしくは単身世帯になったから男女平等は進み、同時に、それでも家族はしっかり現存し、家族的なるものに憧憬や幻想があるからこそ、女性差別は根強いともいえる。

私はこの意見とは反対で、女性の社会進出を促進するためには、三世代家族・複合家族のような状態が最も好ましいと思っている。
理由は簡単だ。
複合家族になる事で、家事はその家族の中で非労働者が担当すればよく、必ずしも女性が家事に縛られると言う事がなくなるからである。


どんなに大きい家であっても、家事は一人で用が足りる。
例えば三世代家族になれば、家事分担候補は増えるので(例えば年金生活をしている方や、家事をやりたいと思う方)、核家族よりは働きたい者が働けると言う環境になる。
また核家族に比べて子供にとっても良い環境だと言えるようだし*1水道光熱費や食費などの生活費も抑えられ、常に家に1人居る状況が作り出せれば防犯対策にもなる。
大きな家を購入する事は難しいかもしれないが、夫・妻・祖父・父母のうち3人が働いているのだとしたら(もしくは祖父・父母が年金で生活しているのでも構わないが)、それは相当な年収になる筈なので、大きな家を買う事は難しくは無いだろう。
家同士のご近所付き合いも増えるだろうし、近所付き合いが広まれば地域の防犯の意味も出てくる。


当然、三世代家族として生活する事によるデメリットも有るだろう。
一番顕著なのはプライバシーの問題や、世代間の付き合い方かもしれない。
夫婦どちらかの親と一緒に住むのであれば、家に嫁いできた方には大きな負担になるかもしれない。


なので私は、筆者の「悪習の多い既存の家族を否定する」事については同意するが、「核家族を推奨する」事には同意できない。
つまり「男社会」だとか「家を継ぐのは長男である」と言う必要は無いが、家を基本にした大家族というスタンスは守っているほうが良いと思うのだ。
「大家族=男社会」と決め付けてしまうのは如何なものだろう。


私としては、安心して暮らせる社会を実現するためには、大家族化は必要な事であると考えている。
それに対して行政がどのような形で絡んでいくのかについて現段階で具体的な考えは無いのが歯がゆいところではあるが、できたとしてもあまり即効性の有る政策案を提示する事はできないだろう。
先述したように、既存の価値観を急激に変化させることは軋轢を生むだろうから。