腹が痛い本

腹痛ついでに腹が痛くなる本の紹介。
なぜ、その人に惹かれてしまうのか?(著:森川友義)」
オビの文句は

恋は見かけが2割!?
人は五感で恋をする、
人は五感で恋させよ。

である。
「人は無意識のうちに五感を使って相手を判断している」とし、「相手に惹かれる五感」について章を分けて述べている。
とは言え、視覚の項目に関しては最も多くページを割いている(「視覚(男)」42p、「視覚(女)」38p、「嗅覚」34p、「聴覚」32p、「味覚」24p、「触覚」26p、「その他」17p)ので、恋愛については視覚がかなりの部分を占めているのではないかとは思うのだが…


さて、内容を大まかにまとめ…たいのだが、あまりにも馬鹿馬鹿しいのでまとめる意味も無い。


馬鹿らしいと思ってしまう点を挙げると、「人の遺伝子は大昔から余り変わりが無いので、惹かれる異性と言うものは今も昔も変わらない」としながら「文化的な側面から好みには差がある」とか「今まで論拠とした論文については全て欧米での研究成果であり、日本で研究が進んだ場合、違ったことになる可能性がある」など、結局遺伝子は余り関係無い様な書き方が随所に見られること。
「魅力的な男性はシンメトリーである」と言う事象を「シンメトリーな男性は魅力的である」と入れ替えること*1で「シンメトリーな男性は体臭が良い」と言う事象を「魅力的な男性は体臭も魅力的である」などと書き換えてしまうこと。
視覚的に惹かれる要素に「経済力(=名刺の肩書き)」が割り当てられていたり、味覚的に惹かれる要素にも「経済力(=ご馳走してくれる食事のランク)」が割り当てられていたりと、あまり五感とは関係が無いことが挙げられていたりすること。


結局この本は、現代の恋愛観にもっともらしい理由付けを述べているに過ぎない。
言い換えれば「イケメン金持ちに気持ち良くして貰うことについてどのような理由付けできるか」と言うこと。
ここまで尤もらしく語らなくてもいいことだろうと思うし、それを主軸にして編集してもっと生生しい内容になっていれば、共感できる部分が多かったろうと思うのは残念である。


ただ一点、とても評価できたのは、論拠として様様な論文を引用していること*2


読んだからといって恋愛についての疑問が無くなる訳ではないが、読み物としては面白い。
話のネタにもなったので時間の無駄ではなかった。

*1:一見もっともらしく見えるが、実際はまったく違う

*2:調べたところ一部論文番号の違うものがあったが、故意ではなく単なる書き間違いだろう